フランスの論理学者兼哲学者、マブリ神父の弟。ロック、バークレー、ヒュームといったイギリス経験主義哲学の伝統に、フランス人として主要な貢献を行った。ロックによる、感覚(外部の感覚による)と内省(内部の感覚による)との区別を否定して、コンディヤック (1754) は外部の感覚からくる外的印象によってすべての概念や精神操作を説明できるのだ、と主張した。
コンディヤックの主な経済著作 (1776) は、市場と競争の相互作用のとらえ方という点ですばらしく先見性があった。ガリアーニに従って、かれは価値の効用/希少性理論を考案し、限界革命を一世紀先取りしている。コンディヤックにとって、価値はある財の効用と、それを使う者たちの主観的なニーズとの関係によって決まり、そのニーズが強まったり弱まったりするにしたがい、価値も上がったり下がったりする。コンディヤックは、この変動を希少性と結びつけた。曰く:
「価値は物質の属性ではなくて、われわれがその有用性をどう見ているかによるもので、そしてこの有用性/効用はわれわれのニーズと相対的だ。ニーズが拡大したり縮小したりすると、効用も上がったり下がったりする。でもモノの価値はニーズによって決まるので、ニーズがもっと切迫すれば、そのモノに与えられる価値も大きくなり、ニーズに余裕ができれば、価値も下がる。価値は希少性によって上がり、豊富さに伴って下がるのだ」 (Condillac, 1776: Ch. I, Pt.1)
コンディヤックの理論――経済学でも哲学でも心理学でも――はデステュット・ド・トラシーが引き継ぎ、そして(さほど忠実ではないながら)ジャン=バティスト・セイも引き継いでいる。
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