トーキングヘッズの文

 

 こことのつきあいも長くて、昔はずいぶん敷居の高いえらいとこだと思ってて「ぼくなんかが書いていいんですか?!」てなもんだが最近はすっかりもうすれちまって、やなやつだよ、こいつは。
 

ゾーンは不幸な人生の代名詞である(トーキングヘッズ叢書1号「ストルガツキー兄弟」1992年)

 実はぼくは、ストルガツキー兄弟は「友情についての物語」がいっちゃん好きなのだ。ほかのはちょっと過大評価気味だと思う。この文は読者に予備知識を要求しすぎてわかりにくくなったので、編集部で親切に註をつけてくれた。感謝感謝。

未来型セックス「クラッシュ」(トーキングヘッズ叢書2号「J. G. バラード」1992年)

 イマイチだな、言いたいことは言えてるんだけれど。かたいね。終わり方とか、唐突できらいだ。あとの「セックスの終焉」とテーマは似てる。

トマス・ピンチョン東京行(トーキングヘッズ叢書 4 号「トマス・ピンチョンで大いに遊ぼう」1993 年 12 月)

 トムはねえ、ここにも書いたけど、まあ手がかかるといえばかかる、かからないといえばかからない変なやつで、ここに書き漏らしたことはたくさんあるんだ。酒を飲むと妙にしゅんと沈んじゃうとか。ちなみにそのときはなしてくれたけど、双子の娘がいるんだってさ。アメリカにいる間に、一回会いたいと思ったんだけれど、結局連絡とれずじまい。ちょっといろいろいい加減なこと教えたんで怒ってるのかもね。ごめんね。
 これを書いてすぐにぼくはモロッコに行ったので、編集部註(だけ)は事実なのだ。

セックスの終焉(トーキングヘッズ 6 号「シミュレーションセックス」1994年)

 これを読んで「こんなものを書いたら、山形くんはますますだれにもつきあってもらえないんじゃないか」とニューヨーク在住のゲイの方が心配してくれたとか。いやいや、「ますます」が余計(でも事実)だが、ご心配には及びませんわい。どうせ投げてますから。
 また、これを書いた後で女から電話がかかってきて「あそこに書いてあるのはあたしのことか」とえらい剣幕で、ぼくはてっきり昔つきあってた女の子だと思って縮みあがってけっこうしろどもどろになって(だって名前ははっきり言わなかったけど、声がそっくりだったんだもん)、そしたら後で梅沢葉子おばさんがボイスチェンジャーでいたずらしただけなんだって。なーんだ、そういえばバックのノイズが変に音程高かったな。でも・・・・・なんか腑に落ちないなあ。

山形浩生、ヴォルマンを語る(トーキングヘッズ叢書 13 号「ヴォルマン、おまえは何者だ」1998年1月)

 だれでぇ、このクソえらそーな山形ってやつはぁ、とゆー感じ。なお、このインタビューの直後に、現在進行形の法廷闘争 (もう終わったけど) へとつながる替え歌が山形に伝授されたのである。うーみゅ((c)菊池誠)。ちなみに先方は、2004 年になってもあの替え歌の作者捜しをしているとか。やれやれ、度し難い連中だなあ。
 

ボウルズの翻訳

ブコウスキーの翻訳

ピンチョン『ヴァインランド』の翻訳

バラード『クラッシュ』の翻訳

ヴォルマン『青い財布』翻訳

ラファティ『アーキペラゴ』1-3章翻訳

 

 

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YAMAGATA Hiroo (hiyori13@mailhost.net)