フレッシャーズに薦める本

(2001 年春、三省堂新春フェアパンフ用の文)

山形浩生

ポール・クルーグマン「クルーグマン教授の経済入門」(メディアワークス)

 入社するといきなり日経読めとか言われるけれど、新聞なんかで断片的な情報あさるよりまず全体像をつかむこと。経済の全体像をつかむにはとってもいい本。思いっきりやさしく翻訳しときましたんで、ひとつよろしく。

ダニエル・ヒリス『思考する機械コンピュータ』(草思社)

 いまどきコンピュータ使えない新卒っていないと思うけど、いたら付け焼き刃でもいから勉強してね。それも目先のアプリケーションの使い方だけじゃなくて、コンピュータの本質的な仕組みはおさえといてね。さもないと、十年もたたないうちにいまのマシンといっしょに使い捨てよ。

ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』(草思社)

 狭い世間しか知らないおっさんが、司馬遼太郎だの塩野七生だの読んで、広い世界的な思想に触れたつもりになって自慢したりしてるのは見苦しいからやめようね。いまのうちから、このダイアモンドみたいな本を読んで、本当の意味での世界と歴史を考えといてほしいのだ。

C・N・パーキンソン『パーキンソンの法則』(至誠堂)

 本当はミルグロム・ロバーツ『組織の経済学』を進めたいとこだけど、読まないでしょー。だからこっち。いかに人は自分の立場を温存するようにこずるく立ち回るか。入社して、配属になってしばらくして幻滅してきたあたりで読むと味わいが深い。しかも爆笑もの。

海外投資を楽しむ会『ゴミ投資家のための人生設計入門』(メディアワークス)

 入社するとすぐに、投資しろとか貯金しろとか言われるし、結婚して身をかためなきゃ、とか血迷う人も多いので、まずこれを読んでおいて、自分には何ができるのかをよく検討しておくこと。名著です。なんのために働くか、この本でよく考えてから入社式に臨むように。

Back to その他雑文 山形日本語トップ


Valid XHTML 1.0!YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)