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干し首ページ

干し首のつくりかた

shrunken head 南米の、ヒバロと呼ばれる人たちは、敵の頭を干して縮めるので有名なんだ。ツァンツァ、または干し首のトロフィーを確保するためだけに、よその部族に襲撃をしかけたりする。この襲撃は小規模なのがふつうで、一軒だけをねらって、被害者が気がつかないように奇襲をかけるんだよ。このトロフィーは、首を奪った人に名誉をもたらして、犠牲者たちの復讐に燃える魂が中にこもっているのだとされる。

 相手をつかまえて最初にやるのは、かわいそうな犠牲者の頭をちょん切ることだ。皮膚を胸のてっぺんあたりで背中のほうまでぐるっと切って頸骨に近いところで頭を切り落とす。頭どろぼうは、頭にツルを通して運びやすくしてから、急いで退却する。その頭は、家に帰る道中に少しずつ休憩するときに、 5 日から 6 日かけて加工されるんだ。まず頭の後ろのところに切れ目を入れて、皮を頭蓋骨からていねいにはぎとる。頭蓋骨のほうは「アナコンダへの贈り物」として川に放り込むんだって(Harner, The Jivaro, p. 187)。それから皮膚を淡水で一時間くらいゆでる。すると皮は、もとの半分くらいの大きさにまで縮むんだ。それを棒にかぶせて乾かそう。

 こんどは、皮を裏返して、肉が残っていたら全部こそげ落とすんだ。そしたらもう一回、裏返してもとの状態に戻してから、頭蓋骨をぬきとった後頭部の切れ目を縫い合わせる。それから口をひもで縛って閉じよう。shrunk2そして小さな石をいくつか火で熱して、その皮の中に入れる。そして中で転がして、冷えてきたらそれを取り出す。このプロセスを繰り返すとツァンツァ はかなり縮んできて、石じゃ入らなくなる。こんどは熱い砂を使ってもっと縮めていくんだ。頭の形ができたら、熱いナイフを口のところに当てて乾かしてやる。こうして縮めてる間ずっと、首のところは穴をあけてひもを通して閉じておいて、頭といっしょに縮むようにしよう。

 この間ずっと、皮は木炭の粉でこすりつづけることになってくる。これはわざと皮膚を黒っぽくして、頭の前の持ち主のムシアク、または復讐にもえる魂が、外を見られないようにするためだ。縮むのが終わった頃には、ツアンツアはげんこつくらいの大きさになる。唇に、ヤシの実でつくったピンを 3 本通してしばりあわせる。まぶたのところには、赤い木の実を入れたりする。頭のてっぺんのところには小さな穴をあけて、そこにひもを通して、ツァンツァを身につけられるようにする。

 ここで、入念なお祭りを 3 回する。一回目のお祭りは 2 日間続く。二回目はずっと念入りで、 5 日間続く。このお祭りに必要なものをそろえるのには、 1 年以上かかることもよくある。このお祭りをやるのはツァンツァ狩りの人たちで、お客に気持ちよく過ごしてもらうためだけに、新しく家をたてたりまでするんだ。数ヶ月して、充分にものが集まるようなら、三回目のお祭りをやる。このときにはツァンツァの加工もさらにすすむ。ピンを唇から抜いて、綿の糸(ふつうは唇の穴ごとに 2 本ずつ、長さ60から90センチくらい)をその穴に通そう。村人たちはツァンツァからムシアクを祓うためにおまじないをみんなで唱えて、魂をふるさとの村に送り返してあげる。耳からは、オオハシ鳥の羽をぶらさげてかざりにする。ツァンツァは頭どろぼうが手元において、死んだらいっしょにお墓に入れられることが多いらしい。

 ムシアクは、お祭りのときにはツァンツァを使ってコントロールできるような力を持ってるとされる。ほとんどのツァンツァは、自分の部族以外の村から調達されるけれど、ごくまれに、同じ部族の一員で、別の村(すごく遠くの村か、敵の村)に住んでいる人も対象になるよ。このときには、頭はちょん切らない(それだとちょっと残酷すぎるでしょう)。髪をぬいて、それをヒョウタンに蜜ロウで止める。それがムシアクの居場所になる。あと、ときどきナマケモノの頭も干される。ナマケモノは、人間以外でムシアクを持てる唯一の動物と思われているからなんだ。

にせものの干し首

 収集家や博物館がでてきたので、干し首をほしがる人も増えた。ヒバロの人たちはもちろん、こんな大切な持ち物を手放すのはいやがったし、それに同じ頃に、この習慣もだんだん廃れてきた。ツァンツァが減る一方で、ほしがる人は増えてきて、値段も高くなっていった。とっても精巧なにせものが動物の皮でつくられて、これにだまされた収集家や博物館もたくさんいた。いまでも、こういうにせものをおみやげに売っていたりするよ。こういう古いにせものは、「クラシックにせもの」として売られて、高い値段がついていたりもする。この干し首のイメージは、パルプ小説やB級映画のおかげでアメリカの大衆キッチュ文化にしっかり根付いているし、ときどきゴム製のやつが、車の後部ガラスにぶら下がっていたりする。

 これは 1960 年代のプレスマン玩具社 (Pressman Toys) からのおもちゃの干し首広告の .wav ファイルだ。The Daily.WAVが親切にも寄贈してくれたよ。

干し首(にせもの)をつくってみよう!

Vincent Price 干し首の模型をつくるやりかたはいくつかある。たとえば、はりぼてを作るのが得意なら、なかなかすてきな模型がつくれるよ。あるいは昔ながらのやりかたとして、リンゴを使う方法がある。これは見かけはそれほど本物らしくはならないけれど、とてもすてきにしわくちゃな頭ができるし、つくるときにホントに縮むから、仕上がりも偶然が作用してくる。1960 年代には、リンゴで干し首をつくってそれに髪やビーズや羽でかざるためのキットがあって、俳優のヴィンセント・プライスの広告で売っていたんだ。

 まずリンゴを用意しよう。なるべく大きいほうがいい。相当縮んでしまうからね。それから、皮むき器かなにかで皮をきれいにむこう。てっぺんと底の皮はちょっと残ってもかまわない。そしたら、小さなナイフを使って、顔を彫り込んでいこう。うまく仕上げるには少し経験がいるけれど、何回かやるうちにコツがわかってくるはず。こんなところに気をつけよう:

  • 顔の部品(鼻とか口とか)はすごく大きくしておくように、縮むと、こういうのは思ったよりずっと小さくなるから。
  • 細かいところはつまようじを使って加工しよう。
  • 「頭」」の表面を、ぼろ切れかペーパータオルでこすってなめらかにしよう。
  • ナイフであまり深い切り込みをいれないこと。表面に残った切り込みは、縮むときに開いちゃうかもしれないよ。

 顔を刻み終わったら、リンゴ頭を「塩漬け」にすることになる。水4カップに、塩を半カップとかしてそこにリンゴ頭をつけ込む。そのまま24時間おいておこう。そうしたら取り出して、紙クリップをのばすか、硬い針金を用意して、片方に小さなわっかを作っておく。あとでひもを通すのに使うんだ。その針金かクリップをリンゴのてっぺんに突き刺して、底までぶちぬく。底から出てきたら、それを曲げて止めよう。リンゴ頭をそのクリップでぶら下げて干すのだ。湿らないようなところを選ぼう。二、三週間たったら、完成だ。

 もし住んでるのが湿り気の多いところで、リンゴ干し首が乾燥しないで腐っちゃうようなら、オーブンか天火を100度くらいにあわせて、真ん中の段にリンゴ頭をおいて乾燥させてから、外に出して干そう。

 興味があれば、木炭で黒くしてみてもいいね。湿気るとダメになるから、ポリウレタンとかシェラックみたいな透明マット仕上げ剤でコーティングしてやるといい。もしもっと「本物」のツァンツァらしくしたかったら、唇のところを太いタコ糸(ちょっとやすりでこすったりしてボワボワにするとそれらしい)で縫ってみたり、にせの髪の毛をつけてみたりするとおもしろいよ。

ここ、クールだよ!

 Hot Toads 干し首カムは絶対チェックしよう! いわせてもらえば、ウェブカムの使い方としてはここしばらくで最高にクールだ。

 いまの時代ってのはホントにへんてこで、こんな文章にまで免責条項がいるんだって。でも、この「干し首のつくりかた」は歴史の話で、ホントにつくってみようと言ってるわけじゃないってことは忘れないでね。それに、ほかの人の首を干したりするのは、あまり行儀のいいこととは思われてないんだから、おうちでそういうことをしてはいけないよ。だれかの人殺し傾向にまで責任なんか持たないからね。干すのはリンゴだけにしておくれ。お願いだから。

 
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Last updated 10/07/98

翻訳:山形浩生(hiyori13@alum.mit.edu)
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