太田書店と博報堂が共同で作った変な雑誌が『リバティーンズ』だった。前半はビジュアルっぽい、ファッションやら人物写真やらで、後半が文字中心のレビューその他。どっちがどっちの会社の担当だか、すぐわかるでしょう。
当初の狙いは、その両者の橋渡しになるようなもの、ということだったんだと思う。でもできたのを見ると、同じ雑誌の中でも完全に分断していて、やっぱりむずかしいなあという感じだった。創刊のときに博報堂でパーティーがあったんだけれど、そのときもうまく両者は混じらず、年寄りは年寄り同士でお話、という感じになってしまう。
ぼくはもちろん後半のレビュー組。書評で、ただし小説とか思想書は他の人がいるから、なるべくそれ以外でという話。創刊が 2010年の5月頃、その後隔月ですすんだが、やはり四号ほどでまき直し。画廊の若いギャラリー主をファッションモデルに使ったりとか、ハイカルチャーっぽいのとポピュラー文化を結ぼうという試みは積極的にやっていたんだが、やはりつらかったか。
誌名は、libertine と teen をかけあわせたもの。実はかつて、ものすごい昔だが、その前半と同じ誌名の『リベルタン』という雑誌があった。雑誌とも呼べるかどうか。一号だけ出て、終わってしまった。でもぼくは大学時代にそれを買って、すごい影響を受けた。当時のマイナーサブカルライターが総結集という雑誌で、わけのわからん人が、わけのわからないテーマのコラムを書いている。あれに近いものになるかな、と思ったがそうもいかなかったようだ。
その後、博報堂のほうに主導権が移行されるかたちなのかな? 『ケトル』という雑誌になったが、こちらは出たばかりでまだ方向性がよくわからない。博報堂のほうで担当していた部隊が、オフィスの真ん中にやかんをぶら下げて、ケトルオフィスとかなんとか名乗っていたんだ。それが名前の出所らしい。