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オープンソース運動の「空中戦」がメディアにおいて進んでいる間、実際の現場 での重要な技術的状況や市場の動向も変わりつつあった。ここでそのいくつかを ざっと振り返ってみよう。それがマスコミ報道でのトレンドや、世間的な認識の トレンドとなかなかおもしろい形でからみあっているからだ。
Netscape社のリリースから10ヵ月のうちに、Linuxはますます急速に能力を伸ば
した。しっかりしたSMP
サポート が開発され、64bit対応にともなうお掃除作業が実質的に完了したこと
で、将来への重要な基礎が敷かれたことになった。
マシンルームいっぱいのLinuxマシンが映画「タイタニック」のレンダリングに
使われて、高価なグラフィクス エンジンの作り手たちは、健全な恐怖心を味わ
うこととなった。
そして安価にスーパーコンピュータを実現するBeowulfプロジェ
クトは、Linuxの中共軍的な(数にものを言わせる)社会学が、カリカリ最先端
の科学計算にも問題なく適用できることを見せつけた。
Linuxの競合オープンソースOSたちに脚光があたるような劇的な事件は、なにも 起きなかった。そして独占UNIXは、市場シェアを失い続けた。事実、Fortune500 企業での採用シェアをのばしているのは、NTとLinuxだけだったし、 秋の終わり 頃には、成長率はLinuxのほうが高かった。
Apache
はWebサーバ市場でのリードをさらに伸ばし続けている。11月にはNetscape社の
ブラウザは、市場シェアが低下していたのが逆転し、Internet Explorerからシェ
アを奪いはじめていた。