血も涙もないファイナンス講座

番外編:DCFを使った、アメリカ株価バブルの判定。

注意:これはあくまでDCFを使ったものの考え方の一例として示すものであって、実際の高い低いを示すものではない。
 
 
 

いくつかの事実。

さて。前回述べたとおり、株価があがるためには、いくつかの方法がある。 ではここで考えてみよう。
  1. アメリカの株の配当が総体として30%もあがると思われる理由が1997年にあっただろうか。
  2. いまの株価は、どのくらいの成長を見込んでいることになるだろう。
  3. これは、どのくらいの経済成長を暗に示しているんだろうか。
 

山形なりの答

1)去年のアメリカは調子よかった。でも、配当がいきなり40%増えてそれが続くと考えるべき理由は思いつかない。

2)単純に計算すると、例の DIV / (r-g) に基づけば、このgは2.3%くらいだ。

3)いままでの市場リターン8%は、経済成長トレンド2.5%くらいを織り込んだものとしよう。すると、株式市場は今後経済が2.5+2.3%で、5%くらいで成長すると見込んでいるわけだ。

 これはかなりbogusな数字。この 5% というのは、一時的なものじゃない。これが永遠に続かなくてはなんないわけだもん。つまり株式市場はとても単純な計算をしていて、1997年の好調なアメリカ経済が永遠に続くと思っている、のかな?

 しかしそんなことはあり得ない(あなたがニューエコノミーとやらを信じ込んでいない限りは)。ということは、アメリカの株式市場は長期的なものの見方がぜんぜんできないで、この1年くらいの話でビーッと成長をのばしていることになる。うーむ。

 つまりこれはバブルだ。sustainableではない水準の成長を見込んだ株価がついている。したがって、これは早晩破裂するだろう。
 

ではいつか?

 自信はないけれど、どっかで経済成長にかげりが具体的な数字としてみえた時点で、どーんと落ちるんじゃないのかな。だれかが言ってるみたいに、ウィンドウズ98のせいで株価が落ちるなんてことは絶対にないけど。1年以内ってところではないかしら?
 

 さて、以上の検討でどこか問題点はあるだろうか?
 

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YAMAGATA Hiroo (hiyori13@mailhost.net)