エスクァイア 書評 (2007-)

 「エスクァイア」(この表記もなかなかむずかしくて一発であてるのは至難の技)は上品な男性総合誌たらんとしていて、『LEON』みたいな下品路線やメンズクラブみたいな唯物路線もあれだし、という感じで『GQ』なんかのハイソっぽいスノビッシュな感覚の路線の激戦区にいつつ、特集は『Title』や『ブルータス』なんかとも重なるようなむずかしいところで苦労している感じがする雑誌ではある。ファッションだけじゃないぞ、と言いたいんだけれど、じゃあそれ以外の何があるの、と真顔で聞かれると返答に窮する雑誌群といおうか。ビジネスでどうやってかっこつけるかとか、グルメとか旅行とか、そんなファッションの周辺領域にとどまってしまっているのがいつも悲しいなあ、という感じ。でもその中でもこの雑誌は一応文化方面が充実していて、あの柳下毅一郎先生のシビアな映画評が読める唯一の雑誌なのでがんばってほしい。『CUT』の山形書評なきあとでは、文芸評論業界に残された数少ない良心じゃ。『バベル』映画評を、菊池凛子/アカデミー賞候補/大胆ヌードといった三題噺ですませないだけの良識を持ったレビューが他にあったかね。シュワンクマイエル版アリスなんてのもここが出した。えらいもんだ。

 さて、その雑誌でなんだか四人回り持ちで書評欄の一つをやっている。なもんで、まわってくるのは四ヶ月に一度ほどだから、いまいち存在感は薄い。他の3人がだれだかも知らないし、その人たちは山形が書いていることを知らないんじゃないかな。各回 1000 字程度、原稿料 ? 万円。いまひとつ、他の書評欄とのバランスとかがまだ見えてこないので、多少周縁的な本で試行錯誤中。10回くらい書くうちにわかるでしょう。

 ……と書いているんだが、なんか回数多くないか? それと妙に科学偏重になっているなあ。


2007

2008



山形日本語トップ


YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)