フランス歴史学派 (The French Historical School)
1878 年以後、フランス中の法学部に経済学教授職ができたために、フランスの体制派におけるフランスリベラル学派の独占体制は崩れた。新しい教授職についた人々の多くは、かなり毛色のちがう人々だったからだ。
ドイツ歴史主義に大きく影響を受けた (そして台頭しつつあった社会主義にもちょっと影響を受けた) この新しい学者群たちは、経済学において歴史的・経験主義的な手法を追求した。また政治にも積極的に参加して、一部は国家共同組合主義 (State corporatism) に大きく傾倒。その主要な媒体は Revue économique internationale だった。
Émile Levasseurの指導のもとで、フランス歴史学派はローザンヌ学派を誕生とともに潰すにあたって大きな役割を果たした(とはいえ例外的に寛容だったシャルル・ジイドのふるまいは、その栄誉のため特筆しておこう)。でも、かれらが自覚的な「学派」じゃなかったのでは、という議論は可能だし、その「歴史主義」という肩書きも疑問視はできるだろう。たとえばその ビジネスサイクルの流れはきわめて理論的だったし、その後のサイクル理論に影響も大きかった。
初期のフランス歴史学派
- Horace Émile Say, 1794-1860
- Histoire des relations commerciales entre la France et le Bresil, 1830.
- Etudes sur l'administration de la ville de Paris, 1846.
- フランスのビジネスマン兼歴史学者。J.B. セイの息子で支持者。
ミシェル・シュヴァリエ Michel Chevalierとフランスリベラル学派
歴史学派
- クレメント・ジュグラー Clèment Juglar,
1819-1905.
- Charles Gide, 1847-1932. - (1)
- Principes d'economie politique, 1883.
- Economie sociale, 1905.
- Cours d'economie politique, 1909.
- A History of Economic Doctrines, with C. Rist, 1909 - review
- Les Societes Cooperatives de Consomption, 1918 - review
- Les Colonies Communistes et Co-Operatives, 1930.
- Revue d'économie politique の影響力の高い創刊者シャルル・ジイドは、経済学への歴史的アプローチの提唱者だった。でもかれは、多元主義に対して不寛容だったりはしなかった――かれはレオン・ワルラスの数少ない支持者だった。もっともそれは、経済学のせいではなく、むしろ協同組合運動で社会哲学や活動においていっしょに活動したせいかもしれない。1930 年代にジイドは、フランスにおいてケインズ革命到来への抵抗に対して批判的だった。
- François Simiand, 1873-1935.
- "Méthode historique et Science social", 1903, Revue
de synthèse historique
- "Review of Jevons,
Pareto and Marshall", 1909, L'année sociologique
- La Méthode positive en science économique, 1912.
- Le Salaire: l'evolution sociale et la monnaie, 1932.
- フランスの歴史学者、1912 年の手法論に関する詳論は、経済学への実験的・歴史的アプローチに対する雄弁な擁護となっている。
- Jean Lescure, 1882-1947.
- Des crises générales et périodiques de surproduction, 1906.
- L'Epargne en France, 1914.
- Hausses et baisses des prix de longue durée, 1933
- Etude sociale comparée des régimes de liberté et des régimes authorites,
1939.
- Principes d'économie rationelle, 1947.
- ビジネスサイクルの過剰投資理論を開発。
- Michel Auguste Adolphe Landry,
1874-1956.
- La Responsabilite Penale, 1902 - review
- L'Utilite sociale de la propriete individuelle, 1903.
- L'interet du capital, 1904.
- Principes de la Morale Rationelle, 1906 - review
- Manuel d'economoique, 1908.
- Les Mutations des monnaies dans l'ancienne France, 1910.
- La Revolution demographique, 1934.
- Traite de demographie.
- フランスの人口学者、歴史家、経済学者、特にオーストリア学派とつながりが深い。1904 年の小論は、ベーム=バヴェルクの資本理論を時間選好の観点から述べなおした優れたもの。
フランス歴史学派に関するリソース
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