ウクライナの経済学者ミハイル・トゥガン=バラノフスキーの貢献は、二つの関連する分野でのものだ:景気循環論とマルクス派危機理論だ。
景気循環をめぐるトゥガン=バラノフスキーの理論は 1894 年著書で解説されており、初めて一貫性のある完全に「経済学的」な景気循環の理論として有名だ。この理論は、セイの法則を否定する信用理論と、ケインズ的な乗数理論の原始的なものに基づいており、景気循環は独立した投資関数によるもので、最終的には不景気の原因は「過剰投資」であると論じた。この画期的な研究のおかげで、ヨーロッパでは多種多様な景気循環論、たとえばシュピートホフ から カッセル やロバートソン、果てはキール学派 や ハイエクまでが登場した。
この景気循環理論を基盤として、 1905 年には マルクスの資本主義危機理論に対する批判が生まれた。景気循環論で、すでに資本主義においては「破壊/崩壊」に向かう動きが必ずしもあるわけではなく、単に波となるパターンがあるだけなのだ、ということは示された。1905 年の著作では、この議論を拡張し、資本主義経済は条件次第で「定常状態」に達して崩壊への動きが止まることもあり得ることが示された。
トゥガン=バラノフスキーの批判は、 マルクス派の中で、支持者 (e.g. ヒルファディング) と、崩壊必然という古い協議の信奉者 (e.g. カウツキー や アードラー) との大論争を巻き起こした。これは後に、帝国主義に関する論争にまで発展した。やがてトゥガン=バラノフスキーはルーツであるマルクス主義を放棄して、かつての論敵だったナロードニキたちの社会主義的な見方である協同主義的経済を支持するようになった。
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