エヴゲニー(またはオイゲン/ユージーン)・スルツキー (Eugene Slutsky), 1880-1948.
エヴゲニー (またはオイゲン/ユージーン)・スルツキーは、数学者になるつもりだったが学生蜂起に参加してキエフ大を放校処分となり、工学とヨーロッパをさまよってからキエフに戻って法学博士号を取得、その後キエフ商業大学で教えることになった。これが 1911 年で、スルツキーはすでにいくつかの分野をうまくつまみ食いしていたことになる。
ローザンヌ学派の影響で経済学に興味を持ち、1915 年に初の経済学論文を発表した――イタリアで(当時、ここはワルラス派経済学の最後の牙城だった)。この論文で、かれは需要関数を代替効果と所得効果にわける「スルツキー分解」を発表した。その業績は無視され、ずっと後になって同じ原理をジョン・ ヒックスと R.G.D. アレンが 1934 年に独立に再発見したとき、やっと多少の認知を得られた。
もう一つ経済学への大きな貢献は 1927 年に、一連のショックをまとめて定期的な周期的性質を生み出せるということを示したことだ。この論文は フリッシュ論文と並行して発表され、今日のニュークラシカル派の先人となる ショック依存景気循環論を生み出した。有名なスルツキー=ユール定理(ランダムな時系列の移動平均を取ると、元のデータには振動がまったくなくても、振動のような動きが生じることがあるというもの)もこの論文で説明された。
他の研究の大半は、1920 年にモスクワに戻ってからのものだが、確率論の分野でのものだった。ある統計量が、確率的またはほぼ確実にある定数に収束するなら、その統計量の連続関数はすべて、その定数のある関数に同じ形で収束する、というのがこの理論だ――この定理は統計学と計量経済学のいたるところで使われている――は1925 年論文で証明された。他の極限定理は 1928 年と 1929 年に発表されている。
エヴゲニー・スルツキーの主要著作
- "On the Criterion of Goodness of Fit of the Regression Lines and on the Best Method
of Fitting them to Data", 1914, Journal of Royal Statistical Society.
- "Sulla teoria del bilancio del consummatore", 1915, Giornale degli
Economisti.
- "ワber stochastische Asymptoten und Grenzwerte", 1925, Matematischen
Annalen.
- "The Summation of Random Causes as the Source of Cyclical Processes", 1927 (in
Econometrica, 1937).
- "Sur un criterium de la convergence stochastique des ensembles de valeurs
eventuelles", 1929, Comptes Rendu des seances de l'Academie des Sciences.
- "Quelques Propositions sur les Limities Stochastiques Eventuelles", 1929, Compte
Rendu des seances de l'Academie des Sciences.
- Tables for the Computation of the Incomplete Gamma Function and the Chi-Square
Probability Distribution, 1950.
- Selected Works of Eugen Slutsky, 1960.
エヴゲニー・スルツキーに関するリソース
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