スペインのイエズス会学者で、サラマンカと関係が深い。結構有名なスペイン史 (1592) で賞賛されているけれど、晩年になると政府や協会は、フワン・デ・マリアナが「問題人物」だと気がつきはじめた。1598 年の有名な論考で、マリアナはサラマンカ学派の「自然法」ドクトリンを名高い究極にまで推し進めて、暴政を敷く王さまを殺すのは「自然で正しい」と論じた。でも「暴政」って何だろう? 1599 年、そして 1605 年の著書で、マリアナはその理屈をさらに進めて、臣民たちの私有財産は文字通り「私有」だから、国が私的/民間の経済問題に、了承なしに介入するのは「暴政」だと論じた。重税はもちろんその好例だ。でも、政府が起こすインフレだってそうだ、とマリアナは書く(たとえば通貨の公的な改鋳など)。それは臣民たちから「盗む」ものだからだ。
フランスで公式に糾弾されて、その後はスペインでも糾弾されたので、マリアナの著書は燃やされて、かれもやがて 1610 年に投獄され、ほとんど死ぬまでそこにいた。驚いたことに、かれが反逆罪に問われたのは、暴君殺害擁護のせいじゃなくて、改鋳を非難したことだった!
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