ピーター・トマス・バウアー卿 (Lord Peter Thomas Bauer), 1915-2002

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バウアーの写真

 ブダペスト生まれでケンブリッジ卒業のピエテル・タマス(Pieter Tamas, 後に Peter Thomas ピーター・トマスと改名)・バウアーは、実際はケインズ派的な意味でのケンブリッジ人ではなく、むしろL.S.E. 人で、かなり急進的な自由放任的性向を持っていた。実際、P.T. バウアーは1960-1983 年まで L.S.E. で教えている。

 P.T.バウアーは開発経済の大物だけれど、仲間からの影響をほとんど受けないようだ――特に、開発における政府介入の役割については。バウアーの理論は、当時はユニークだった。かれは第三世界が、19世紀のヨーロッパ諸国が20世紀に出現しただけの存在じゃない、という点については同意している。バウアーは、いまの第三世界が先進産業国と共存しているために独特な構造を持っている、という点についても同意している。でもかれはこの特徴が、貿易による依存性から生じるものではなく、むしろヨーロッパ式の巨大官僚式統制経済国家を引き継いだせいだ、と主張した。バウアーの見方では、開発における構造問題というのは、国家の介入の結果なのだった。

 貿易が悪い唯一の場合というのは、そこから得られる利益が国の金庫に入ってしまって、民間セクターに流れない場合だけだ、とバウアーは述べた。開発と発展の原動力は民間セクターで、民間は第三世界のものも、第一セクターに負けず劣らず開発を生み出す力を持っている。全体としての経済発展を邪魔しているのは、国だ――新植民地主義国家だろうとそれ以外だろうと関係ない。西側の開発援助は、単に統制経済政府が、その破壊的な政策を延々と続ける手伝いをしているだけだ、とバウアーは論じた。

 残念ながら、バウアーのケンカ調――しばしば第三世界諸国の挙げた成果をおとしめて、西洋文明のすばらしさや、それがいかに第三世界にいい影響をもたらしたかを称揚する物言い――は、その提案が最も意義深いはずの国々で、聞き手を減らす結果となっている。

ピーター・トマス・バウアーの主要著作

ピーター・トマス・バウアーに関するリソース


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