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ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約、14 章おまけ
山形浩生 (全訳はこちら)
14 章おまけ マーシャルやリカードの述べる金利とは
Abstract
- この章は、マーシャルやリカード、フォン・ミーゼスなどの著作で金利がどう扱われているかを詳述したところ。ケインズ理論そのものにとって重要な部分ではなく、いまではせいぜい経済学史的な興味の章。だからここだけは段落ごとではなく、節ごとのまとめにした。
本文
Section I
- マーシャルやエッジワースやピグーの本には、金利の明確な定義がないけれど、その人たちがあれこれ金利に言及しているところを引用して見ると、14 章で説明したような理解らしい。
Section II
- リカードは、金利というのは、あるお金を投資したことによって得られる利益率で決まるのであって、銀行の融資額では決まらない、と書いている。これは単純明快でいいのだけれど、完全雇用を前提にしている。借りたお金はすべて使われる、というわけだ。でも、後年の学者に比べれば、リカードのほうが理論的に明快。
Section III
- フォン・ミーゼスが提唱した変な金利の理論があって、それがロビンスやハイエクに踏襲されている。金利というのは、消費財と資本財との相対価格で決まるんだって。理屈はよくわからんが、こんなことらしい。ぼくの言う資本設備の限界効率というのが、ものすごい単純化によって、資本設備のお値段と、そこから生産される消費財との価格の比率だという話になって、それが金利になるんだと。
すると、消費が減ると消費財の価格が下がり、それを作る生産財の価格はそれ以上に下がるから、その比率である金利は下がって投資が促進されることになる。でもこれって理屈がまるっきり逆でしょう。
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2011.10.10 YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)
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