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43.

ボビーはサンタモニカに住んでいて、子供は二人、男の子と女の子だ。地元の活動には積極的で、民主党の郡支部の会計係を務めている。政治的には、自分では「強いていうならりベラル」だど思っている。現在の戦争については文句がある少なくとも「いわゆる中立国」に於る、わが国の細菌兵器攻撃を話し合いで終らせようという、ソ連側の提案を受けいれるべきだ、と思っている。 しかし、良心的兵役忌避者は「行き過ぎ」だと考える。

彼はいい歯をしている。

彼は私の戯曲の中のゾンリッヒのまさに原型だ。時おり私は、自分の筆がこの愛想のいい怪物を産み出したのだという、穏やかならぬ気持になる。



T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日