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36.

〈不思議に思われようとも〉

東ドイツの「ハード」ミュージックの作曲家、アドリエンヌ・レーヴェルキューンがコロラド州アスペンに帰還、本年八月.三〇日の彼女の「スペーシャル・フーガ」の初演が、原告側の受けた肉体的、精神的な傷害の、直接的にして有責なる原因であったと主張する、原告の会によって彼女に対して申し立てられた告発に答えるため、出廷するのが目的である。原告の一人、フェスティバルのディレクター、リチャード・サードは、この公演によって鼓膜が破裂し、永久的に聾になったと宣誓証言している。



T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日