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3.

いちだんと加減悪し。鼠践部と関節に矢のような痛みがする。夕食を半分喪失。口と鼻から出血。眼が痛み、視界はここ二、三日のことだがきわめてかすんできた。眼鏡をかけねばならぬ。また、禿げてきているが、この咎をパリジンに負わせるのが正当かどうか自信はない。

私は利口になっているのだろうと思う。けれども、うんと利口になっているとは感じない。けだるさとヒステリー、躁と欝、熱さと寒さを交互に感じる。猛烈に感じる。だがドクター・バスクのオフィスで(そこにはもう彼女はいない)さまざまな精神測定テストで幾らか注目すべき成績をあげた。



T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日