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: 六月十八日 : 六月十七日 : 六月十七日   目次

追記――

共同食堂(ここではシェフをキュナール方面から入れているにちがいない!)で囚人たちとディナーを食べた一時間を別にすれば、一日中、そして夜の半分も仕事に取組んでいた……きょうのはじめに微かな兆しを得た"もっと大きなもの"に。これは戯曲で、この様式での私の処女作になり、スピードだけ でもなんらかの美点の兆候になるものなら、素晴しいものにちがいない。草稿の第一幕の半分を仕上げたのだ! 題名を明らかにするのが不安になるくらいだ。私の一部はいまも自分のしようとしていることから後ずさりする、「裸のランチ」を突きつけられたバウドラーといった風情で。もうひとつの部分はその急騰する、跳梁する大胆さに息をのむ。大したじらしようだ! さて、承知しておりますよ、幕を開けるか口を閉じるかせずばなりますまいな――

アウシュヴィッツ

喜劇

モルデカイの「才智の炎症」は伝染性のものにちがいない。天使と寛大なる諸卿よわれをまもりたまえ! 私はとり葱かれているような気がいたします!



T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日