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: 六月十六日 : 六月十五日 : 六月十五日   目次

追記、ずっとのちに

説明するまでもないと思うが、私はきょう、そしてきのうも気分がよくなかった。すでにこの日誌で述べたと思うのだが、私はドクター・ミエリスが偏頭痛を治してくれたと思っていた。そしてまた、右に示されているようなスケルツォ癖も直してくれたものと思っていた。

思う。

思った。

思くるしい。

足もとはまだ泥沼で、私は私自身に戻ってはいるものの、これが、この自己掌握がいつまで続くものやらこころもとない。私はぐったりし、彼の暴虐に疲弊し、頭が痛い。もう遅い。

いままで、回廊、回廊、回廊を歩いていた。バスクがいわざるをえなかったことについて考えているうちに、もっと容易ならぬ、ルイ二世の提起した問題を考察しないわけにはいかなくなってしまった。彼に対して私はいっさい返答しない、あの悪魔は私と同等に有能な神学者だから、トートロジイになってしまう。

沈黙か、それならば。だが沈黙は、敗北を認めることにほとんど等しいのではあるまいか? 孤立し、聖体を拝領していない私には恩寵がない。問題なのは、ひとえにそれだ。

おお神よ、これらの方程式を簡略化したまえ!



T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日