next up previous contents
: 89. : 二冊目 : 87.   目次

88.

HHがいうには、彼の不埒な財団の役員連中は疫病の存在を認めようとしない。独自にスピロヘータを発見した数人の医師たちは、買収されるか、何かもっと不愛想な方法で沈黙させられた。

その間にも、新聞の見出しは日毎に奇怪なものになっていく。またもスーパー殺人の波がダラスとフォートワースで起った。一週間に三件の美術館強盗があり、カンサス・シティ市議会はアンディ・ウォーホルを公園局長として雇用。まさに、世界は終りつつある。 氷によってではなく、火によってではなく、遠心力によって。


T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日