next up previous contents
: 69. : 二冊目 : 67.   目次

68.

これには、個人的な裏切り以上のものが関っているのだと、ハーストが認識できるようになるまで、しばらくかかった。その問にスキリマンは群れに紛れてこっそりとその揚を離れ、事の重大な先行きを思案しにいった。 彼の最初の、そして最も強い反応は、証かされたという思いだったはずだと確信する――あんなにも自分自身の手で世界をおしまいにしてしまいたがっていたのだ。


T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日