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63.

私はよくなっているのか、悪くなっているのか? どんな徴候で解釈したものか、もう殆どわからない。再び病床を離れてはいるものの、なお薬浸りなのだ。〈忠僕〉は私の指示の下、私の構想になる〈事実の博物館〉建設に従事。

マグナム・オパスの設備が、まだ、放棄された劇場にあった。ハーストはそれを別室に移させたが、その取扱いに際してはこの上もなく細心のデリカシーを払うよう強く求めた。迷信がわれわれを振りまわすのだ、死んだものさえも。


T. M. ディッシュ『キャンプ収容』 野口幸夫訳     平成18年7月16日