私は低い、低い。
病の水が土手のまわりに寄せてくる。もう砂嚢はない。私は、わが家の屋根の上から、洪水を待つ無人の街路を眺める。
(お助けください、ああ紳様。水は私の魂にも入りこんできているのですから。私は深い泥沼に溺れ、そこにはまったく立っていられないのです――私は深い水中に入りこんで、そこでは洪水が私の上に溢れるのです。)
私はいま一度みつめる、医務室で、水のグラスを。今では始終、鎮痛ピルに頼りきりだ。
誰も私を訪ねてこない。