情景を再構築していると、すぐ身のまわりの世界、タイプライターと散らかったテーブルとパリンプセストの壁の世界が、リズミカルに縮んだり膨れたりする、いまは要するに有界的に、いまは無限定にど。眼が痛い。胸腺と脳が、まるで悪い食べ物に当ったけれどもまだ嘔くのは抑えられているとでもいったふうに、むかついてくる。
ストイックだが、ちょっぴり泣き言をいわずにいられるほど、ちょっぴり同情を求めずにいられるほどストイックではない。
がんばれ、サケッティ、がんばるんだ!(スキリマンもきょうは加減が悪かった。普段はあんなにも訥弁な手が悪寒に震えていた。あごの下の「ほくろ」がすっかり紫になり、咳をすると、屈か、いたんだマヨネーズのような、硫黄くさい匂いを放つ。自分の腐敗の徴候に、まるでそれらがすべて、彼が自らの肉体の反逆に対して申し立てている訴訟の眼目ででもあるかのように、ひねくれたよろこびをおぼえている。)