朝日新聞書評しなかった本 2003/01-03
- 「贅沢な読書」
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福田和也が、ブンガクを読むというのは実に優雅で味わい深い、年代物のワインを飲むような、宋の壺を眺めるような豊かな体験なのです、とかくだらない能書きをたれつつ、金持ちぶってみせるいやな本。実際に本の話になっても新しい発見もなし。
- 「リスクの心理学」
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心理学者によるトレーダーの心構え集で、いろいろあるけれど「もっと積極的にリスクを取ってがんばれ」というだけ。つまらないっす。
- 「石山修武の設計ノート」
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建築家のダレた自慢話集。ぼくの趣味ではありませんし、特に紹介すべき本とも思えません。
- 「知識の灯台」
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アレキサンドリア図書館の話がもっと詳しく出ているかと思ったら、アレキサンドリアで活躍した知識人の話の羅列になっていて面白みに欠けます。もっと図書館の機能や、当時の学園都市構想みたいな話が読みたかった。
- 「鉄腕アトムは電気羊の夢を見るか」
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心というのは内蔵だ、という話からロボット話をするのは、面白いっちゃあ面白いんですが、全般に散漫すぎる。各種のマンガに対する認識の低さもいろいろ指摘されているし、ただの思いつきにとどまっていて紹介に値しない。
- 神林長平「小指の先の天使」
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結局、「つらくてもバーチャルな世界より『リアル』な現実世界がいいんだ」
という価値観が、一度もゆらぐことなくだらしなく出ていて、あとはそれを器用
にまとめただけにとどまる感じです。評価できません。
- 荒俣宏「イギリス魔界紀行―ハリーポッターの故郷へ」
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テレビで取材にいったついでに余り物で作ったお粗末本。ハリポタなんかかけらもなし。荒俣宏、なさけなや。特にミステリーサークルのところで「麦が風にそよいで、ミステリーサークルが生きているようだった」とか、あんたはバカか、というような記述。さらにガイドブックのはずがろくな地図もついていない。かつての荒俣宏ならあった、博覧強記の鋭いつっこみもなし。
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YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)