たかがバロウズ本

『たかがバロウズ本』サポートページ

 構想はさかのぼれば 10 年前、現実的にも 5 年前、執筆 4 年、「もうすぐ完成」と言い続けて、はや 18 ヶ月。この調子では永遠に完成しないのではとわれながら不安になっておりましたが、ようやく脱稿いたしました。40 万字、原稿用紙 1,000 枚の化け物みたいな本になっています。また実際の本は 450 ページ近く。座興に、目次と、そして中身のわけのわからなさを感じていただくために、参考文献一覧をご笑覧あれ。あと全文をアップしときました。(2003/5/13 0:00AM)

目次

1. 関連資料

2. 正誤表

3. 追記事項

4. レビュー、感想など


1. 関連資料

全文 pdf ファイル (1.67 MB)。

本書で使ったjBibTeXファイル(sjis)。これも常時追加。余計なものがいっぱい入っている一方、邦訳書も網羅されていない。拡充してdiffでも送ってくれれば、どんどん成長させますのでご協力いただければ幸い。また、それぞれの項目にはisbnを含め、pdfファイルの巻末に掲載されたものよりずっといろんな情報が含まれている。

目次に戻る


2. 正誤表

「目玉の数さえ十分あれば、どんなバグも深刻ではない」――リーヌスの法則 (「伽藍とバザール」より)

初刷りのみ 1-2刷りのみ 1-3刷りのみ

1-3刷りのみ (as of 2003/3/13)

「たかがバロウズ本」1-3刷り正誤表
Page 位置
p. 97 最後から 5 行目 一九四五年の麻薬の味を覚えてから 一九四五年麻薬の味を覚えてから
p. 99 13 行目 ●『裸のランチ』(一九五九、改訂版一九六二) ●『裸のランチ』(オリンピア版一九五九、グローブ版一九六二、Restored Text 二〇〇三)
p. 100 5 行目 一度はボツにしたパリのアングラ出版社 それ以前に一度どころか二度もボツにしたパリのアングラ出版社
p. 104 1 - 5 行目 原著の加筆部分を盛り込んだ改訂版の邦訳は、1993年になって映画の公開にあわせて出版。また、死後に秘書ジェイムズ・グラワーホルツとバリー・マイルズにより出版社のカットした部分をすべて再現した「完全復元版」が2001年に刊行予定となっている(がずるずる遅れて、いまや企画自体が生き残っているかもわからない)。 グローブ版に基づく邦訳は、1993年になって映画の公開にあわせて出版。また、死後に秘書ジェイムズ・グラウアーホルツとバリー・マイルズが、オリンピアプレス版に先立つ散逸原稿を発見。現在の改訂版は古い草稿に基づくギンズバーグらの勝手な編集版ということで、その散逸原稿をもとに各種原稿をまとめなおした「復元版」が2003年に刊行された。
p. 112 最後から 8 行目(節見出し) 4-2-5 カットアップ以後:安定期 4-2-5 停滞期
p. 115 1 行目(節見出し) 4-2-6 カットアップ以後:安定期 4-2-6 冒険小説三部作
p. 186 10 行目 スポコラミン コポラミン
p. 289 最後から 6 行目 映画の中の書く作家ごとに 映画の中の作家ごとに
p. 372 最後から 3 行目 湾岸部のエンドマックス または 西麻布のエンドマックス 東麻布のエンドマックス
p. 435 最後から 5 行目 『スローラーナー』(新潮社) 『スローラーナー』(筑摩書房

1-2刷りのみ (as of 2003/3/13)

「たかがバロウズ本」1-2刷り正誤表
Page 位置
p. 37 2行目 ぼくたちにとっても意味も ぼくたちにとって意味も
p. 51 最後から3行目 『夢の書:我が教育』 『夢の書:わが教育』
p. 58 最後から2行目 OSS OSI
p. 62 2行目 OSS OSI
p. 62 最後から4行目 故売屋
p. 65 最後の行 故売屋
p. 83 最後から5行目 戦前すぐの時期 第二次大戦寸前
p. 101 後ろから3行目 送信主義社 送信主義
p. 104 3行目 グラワーホルツ グラウアーホルツ
p. 115 9行目 『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト」 『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト
p. 130 2行目 寿下無寿下無 寿無寿
p. 170 6行目 一九九八年まで生きていた 一九九年まで生きていた
p. 173 脚注6--7行目 そこでは需要関数そのものが意味を失い。価格による そこでは需要関数そのものが意味を失い価格による
p. 188 1行目 勧める める
p. 192 9行目 モルヒネをひたす射ち続けて モルヒネをひたす射ち続けて
p. 193 11行目 強いことにはかわらない。 強いことにかわりはない
p. 199 1行目 スの後で。あらゆる男は悲しい スの後であらゆる男は悲しい
p. 212 最終行 これによって、かれは意味は これによって、かれは意味は通らないけれど、雰囲気だけはある変な文章を
p. 229 最後から5行目 ニール・ゲイマンのコミック『ウォッチメン』 アラン・ムーア&デイブ・ギブンズのコミック『ウォッチメン』[180]
p. 235 10--11行 0>= p>= 1 0<= p<= 1
p. 292 13 行目 初刷りには紙ジャケットがついてきて、それはバロウズ自身の手になるものだ。 初刷りには紙ジャケットがついてきて、それはバロウズ自身の手になるものだ(p.101 図参照)
p. 309 最終行 ニコルソ一派とか ニコルソ一派とか
p. 338 7--8行 「The purpose of technology is not to confuse the people, but to serve the people」(テクノロジーと申しますものは、人さまを惑わすためのものではございません。人さまのお役に立つためのものですな)。 「The purpose of technology is not to confuse the brain, but to serve the body」(テクノロジーと申しますものは、を惑わすためのものではございません。肉体のお役に立つためのものですな)。
p. 379 5 行目 (英文引用部最後) enzyme difference. enzyme difference.[1, pp. 26--27]
p. 423 1行目(文献 [1] 最初の行) Throb-bing Gristle Throbbing Gristle
p. 424 3行目(文献 [10] 最初の行) [10] 鮎川信夫「『裸のランチ』ノート(補)」一九七一年。 [10] 鮎川信夫「『裸のランチ』ノート(補)」一九七一年、『裸のランチ 完全版』[25] pp. 314--318収録
p. 425 最後から1-2行目(文献 [29] 最初の行) 一九五三年 初版 Junkie Junkie [19]
p. 428 11--13 行目(文献 [54]) [54] ウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ『麻薬書簡』……と思われる。 [54] ウィリアム・バロウズ、アレン・ギンズバーグ『麻薬書簡』、思潮社、東京、一九六六年、諏訪優訳、飯田隆昭訳、Yage Letters (City Lights Books, San Francisco USA, 1963). 一九七三、一九八六年に新装(中身は同じ)。一九六六年版はすべて「William R. Buroughs」なる表記、一九七三年版でも「Buroughs」は相変わらずで、また表紙と扉は「ギンズバーク」と表記(「ク」濁点なし)。
p. 429 12行目(文献 [65] ) 『千のプラトー』一九九四年 『千のプラトー』河出書房新社、東京、一九九四年
p. 430 2行目(文献 [70] ) John Kenneth. Galbraith. ジョン・ケネス・ガルブレイス
p. 434 3行目(文献 [113] ) このカタログでは名前はMilesとしか表記されていない。 当時、かれは単に Miles だけで通していた (p.113 図の手紙宛名参照)。
p. 437 13行目(文献 [153] ) ギンズバーグ/バロウズ『麻薬書簡』pp. 109-129, 思潮社、東京、一九七三年。 バロウズ/ギンズバーグ『麻薬書簡』[54]pp. 109-129, 思潮社、東京、一九六六年
p. 441 3段目 11 行目 『ウェスタン・ランド』 050, 116-117 『ウェスタン・ランド』 050, 115, 116-117
p. 443 1段目9行目 ゲイマン、ニール 229 (削除)
p. 444 3段目最後から8行目 『デッドロード』 『デッドロード』
p. 447 1段目最後から4行 『夢の書:我が教育』 『夢の書:わが教育』
書誌全般 -- -- 以下を追加:
[180] Alan Moore and Dave Gibbons WATCHMEN. D. C. Comics, NY USA 1986-7. 邦訳は石川 裕人訳『WATCHMEN 日本語版』(角川書店/主婦の友、東京、一九九八年)。本書では参照していない。
索引全般 -- -- 「ムーア、アラン 229」「デイブ・ギブンズ 229」を追加。

初刷りのみ

「たかがバロウズ本」1刷り正誤表
Page 位置
p. 50 6行目 『デッドロード』『ウェスタンランド』 『デッドロード』『ウェスタンランド』
p. 99 本文最後から5行目 Dead Finges Talk Dead Finges Talk(一九六三)
p. 99 本文最後から4行目 Interzone Interzone(一九八九)
p. 101 図キャプション 『THE NAKED LUNCH』 1959年 『THE NAKED LUNCH』 1959年 カバー画はバロウズ自身。
p. 115 5行目 『ウェスタンランド』 『ウェスタンランド』
p. 116 11行目 『デッドロード』 『デッドロード』
p. 120 8行 『最語――ウィリアム・バロウズ最後の手記』 Last Words: The Final Journals of William S. Burroughs
p. 129 最後から3行目 [76,] と。(done!) [76, p.51] と。
p. 134 7行目 『ハイリスク』 『ハイリスク』
p. 236 4 行目 P/NP IP/NP
p. 249 最終行 どれともタンジールで れともタンジールで
p. 401 最後から8行目 Morgan [117] は一九九八年に出たものなので Morgan [117] は一九八年に出たものなので
p. 413 最後から2行目 以下の2つくらいの 以下の3つくらいの
p. 440 2段目最後から4行 『ダッチ・シュルツ最期の言葉』 『ダッチ・シュルツ最期のことば
p. 440 3段目4行 『夢の書:我が教育』 『夢の書:わが教育』
p. 440 3段目12行目 『デッドロード』 『デッドロード』
p. 441 1段目 11 行目 『ウェスタンランド』 『ウェスタンランド』
p. 444 2段目最終行 『ダッチ・シュルツ最期の言葉』 『ダッチ・シュルツ最期のことば
p. 447 1段目最後から4行 『夢の書:我が教育』 『夢の書:わが教育』

目次に戻る


3. 補足事項など

1.1.3 「どこかの書評新聞で……」(p.25, 注2)
 いつどこで見たのか調べる気もなかったが、先日資料を整理しているときに、問題の記事のコピーが出てきた。なんと、若島正が日本読書新聞 (1994)に書いた、ライターズXシリーズの書評だった。驚いた。(2007/3/26)

4.2.2 「バロウズの小説/裸のランチ」 (p.104)
 2003 年になって、この『裸のランチ:復元テキスト』なるものが、かれの晩年の秘書を務めていたジェイムズ・グラウアーホルツらによって発表されている。

William S. Burroughs, Naked Lunch: The Restored Text, (James Grauerholz and Barry Miles, ed., Grove Press, NY USA, 2003, ただし奥付は2001 になっている)

 グラウアーホルツによれば、バロウズはもともと初版のオリンピア版を『裸のランチ』本来の姿と考えており、その後アメリカのグローブプレスが出した現在の形は、ギンズバーグと編集者が(長さが足りないと判断して)古いバージョンに基づいて勝手に作ってしまった部分がある、とのこと。さらに、オハイオ州立大学のバロウズ資料の中から、紛失したと思われていたオリンピア版のオリジナル原稿(実はいったん出版社が紛失したため、実際に出たのはその後バロウズたちが急ごしらえで作ったものだった)が出てきた。したがって、それをもとにオリンピア版の原型に忠実な「完全版」を作ってみた、というのがこの「復元テキスト」の主旨である。
 ややこしいのでまとめておくと、グローブ版は(本来あるべき)オリンピア版の加筆訂正ではなく、むしろドラフトに近いものだ。しかし実際のオリンピア版も、本来あるべきオリンピア版とはまた別の、急ごしらえ版になっている、という話のようだ。
 ただし、この処理を疑問視する声も多い。当初はどう思っていようと、バロウズが本当に不満に思っていたなら、その後数十年にわたり自分の満足のいくバージョンを出す機会はいくらでもあった。でも、かれはそんなことはしなかった。そしてその間に人々が読んで影響を受けてきたのは、このグローブ版のほうだった。それなのに当人の死後に、取り巻きが勝手にむかしの原稿をいじってでっちあげ、それを「完全版」と呼ぶのは正当化されるのか?
 さらに『裸のランチ』が緊密な構成を持つ小説ではなく、多くのエピソードの集積である以上、テキストの細かい追加・削除が小説としてそれほど大きな価値の差をもたらすだろうか? 研究者なら書誌的な興味は持つだろうけれど、読者としては、ぼくはそれほど大きな印象の変化は感じなかった。が、人によってはちがう印象を持たれるかもしれない。
 今後、アメリカではこの「復元テキスト」がいわば正式版となるようで、イギリスではグローブ版が流通し続けるらしい。現在日本では、鮎川信夫による昔の訳が急ごしらえオリンピア版の訳、映画化にあわせて山形が手を入れたものがグローブ版の訳ということになる。「復元テキスト」版が訳されるかはわからない(が、まあ見込みは薄い)。

C-3 その他(日本での伝搬: 武邑光裕)の椹木野衣について (p.372)
 当の椹木氏より、武邑光裕にクラブ方面について入れ知恵したり動いたりしていたのは、椹木野衣ではなくむしろ武邑の教え子だった高城剛のほうではないかとのご指摘をいただいた。なるほどそうでしたか。(同時に、エンドマックスは西麻布であり、おめーは湾岸にあったゴールドとまちがえてるだろ、との指摘もいただいた。お恥ずかしい。図星っす。)
(付記:その後、みやのタレコミで、エンドマックスは西麻布ではなく東麻布だったとのこと。あ、そういやそうだ。
 また、C-6 で述べた椹木『シミュレーショニズム』への批判については、かれ自身それをふまえて自分なりに総括したのが『日本・現代・美術』(1998) だとのこと。ふーん。いずれ機会があれば読んでみましょう。

D-3 既往バロウズ研究について(pp. 403--6)
 本書はテキストを中心にしたために文中では触れなかったが、バロウズの絵や、さらに作品のもとになっているスクラップブックについて、コラージュなどの美術史的な位置づけをやっているそこそこ興味深い研究書として、以下を挙げておく:

Robert A. Sobieszek, Port of Entry: William S. Burroughs and the Arts, (Los Angeles County Museum of Art/Thames and Hudson, LA/NY USA, 1996)

バロウズ展カタログとして作成されたため、特に絵やスクラップブックなどのカラー写真が多く、従来の白黒写真とはかなりイメージが変わる。持っていても損はない一冊だし、美術的にバロウズを検討しようという方にとっては基本文献となるだろう。

 また、テキスト研究とは離れるけれど、歴史的な記録として『裸のランチ』をめぐる裁判の経緯をまとめた以下の本は記録として優れている:

 Michael Barry Goodman Contemporary Literary Censorship: The Case History of Burroughs' Naked Lunch, (The Scarecrow Press, Metuchen NJ USA/London UK, 1981)

 著者Goodmanは、バロウズのビブリオ編纂でも活躍した人。特に深い洞察などがあるわけではなく、淡々と記録をたどり、『裸のランチ』以降、文学作品の検閲がアメリカではなくなり、それが社会的な規範の変化によるものだと述べている(が、そんなことは言わずもがなではある)。

D-5/6 コレクション/アーカイブ
 だれかもし3千万円くらいあぶく銭を持っている人がいたら、こんな出物がある。THE JOSEPH ZINNATO COLLECTION OF WILLIAM S. BURROUGHS。かなりすごそう。さすがにこの値段ではぼくも(まだ)手が出ない。バブル時代なら即だれかが手をあげただろうけれど、いまの日本ではどうでしょうねえ。これが手には入ったら、「たかがバロウズ本。」を超えるものを作ることも夢ではないかも知れないぞ。どこか図書館が買って、ぼくに調べさせなさい。

D-7 インターネット上のバロウズ関連資料
 特筆すべきサイトとして ev カットアップの作り方を追加。本文中でも触れたドクターバロウズなどをはじめ、テキストカットアップに関するアルゴリズムについて詳しく解説している。機械文学派のあなた、是非どうぞ。

また、バロウズ出演のナイキCM が発掘されたので参考までに。


その他トリビア
『麻薬書簡』(思潮社)が、いずれのバージョンも表紙などの名前表記でずいぶんと変てこなことをやっているのは上の正誤表でも指摘した通りだけれど、同じく『ジャンキー』の今出ている銀色のバージョンも、原題をJUNNKIEというおかしな表記にしていることに今さらながら気がついた。カバーも、カバー背もこの表記。思潮社にはそのくらいチェックするやつはおらんのか!
 また、テキストファイルのgzipやlhaによる圧縮率を半分くらいと文中では書いたが (p.253)、いまやってみたらもっと出る。1/3にはなる。たぶん書くときに使ったファイルがなにか変なファイルだったか、かなり小さなファイルだったんだろう。
 柳下毅一郎が、バロウズの実験映画を撮っていたアントニー・バルチについて教えてくれた。エログロと前衛とインチキとゲージツが幸せに共存できていた時代のとても楽しそうな人ではある。三流以下だけど。柳下にはどっかでまとめた成果を発表してほしいものよ。

目次に戻る


4. レビュー、感想など

antipop1, antipop2, 稲葉振一郎, katokt, リリカ, 2ch, 山根信二, 迷宮旅行社, 若島正 (3/6), 朱雀正道(旭屋、無料登録必要), ナボコフノート, 偽日記(2003/3/29) その他各種レビュー, インビテーション#3(陣野秀司。本の中身について「納得できる」の一言しかない、ぼくが見た中で最低のレビュー), スタジオボイス、新文化等, みやのレビュー(驚異の目利きぶり)

目次に戻る

YAMAGATA Hirooトップに戻る


YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)