Valid XHTML 1.0! JICAプロジェクト実施支援調査

ウランバートル飯屋現状調査 interim 報告書



2000/4/30
山形浩生 <hiyori13@alum.mit.edu>

目次

    1. 概論
    2. 食べ方の基本と主要メニュー
    3. 店舗ガイド
    4. 安全について
    5. 今後の調査予定

    参考(にならなかった)文献


1. 概論

 Lonley Planet 刊のガイドブック Mongolia [1]などの記述だと、ウランバートルにはまともな飯屋の一つもなく、無愛想な店員が何を頼んでも脂まみれの肉のかたまりをもってくるだけ、ということになっていました。でも状況はかなり変わったようで、2000 年春現在ではかなり多くのまともな飯屋が存在しているし、味もまあ絶賛はしないにしても、そこそこおいしいものはかなりあることが確認されています。

 腹が減っては戦ができぬともうしますが、一方で腹が減っては平和時の海外援助といえどもままなりません。一方で、「同じ釜の飯を食った云々」という表現からもわかる通り、やはり現地の人々と同じような店で、同じ料理を同じ値段で食べてみることは、現地の生活状況を理解するうえでも、国民感情についての洞察を得るうえでも、きわめて重要であるといえます。これについては World Bank 編『海外援助の役割と食糧問題』 (1998) [3]に収録されている各種論文はまったく参考になりませんが、援助の実務にたずさわる者であれば、だれであれ日々の業務のなかで痛感していることであると信じます。

 以下は、モンゴル国郵便事業改善計画策定調査の実施にあたり、調査の円滑なる実施と支援に資するべく調査団員に一人たる不承わたくしめが、2000年3月30日から4月16日にかけて、国民の税金を使った調査の合間をぬって、自腹(金銭的にも肉体的にも)で実施してきた、モンゴル国ウランバートル市における昼食を中心とした食事事情に関するささやかな調査の成果物であります。一個人として完全に自主的に行った調査であるという点において、これはある種のNGO/NPO的活動の一環であるととらえられましょう。今後の海外援助において、NGO/NPOとの協力関係がますます重要になってくることについては、世界銀行や我が国のJICA、国際協力銀行(JBIC、旧輸銀+OECF)なども一致した見解を示しており、すでに数多くの協力実績が築き上げられてきております。本調査においてもこのような望ましい協力関係が実現したことは、まことに喜ばしいことであり、今後の海外援助における一つのモデルケースとしても捉えられるものです。NGO/NPOについては、このような批判的な見解もありますが、本調査における緊密なる連携関係を鑑みれば、かかる批判がまったく的はずれであり、海外援助の現場に関する大いなる誤解に基づいたものであることは明らかであろうかと思われます。

 本調査が日本のよりよい援助の実施にいささかなりとも役にたち、ひいては日本とモンゴルのさらなる友好関係の確立に貢献できれば、これに勝る悦びはありません。

 なお、本調査の内容およびその評価は、すべて2000年4月の調査時点においてのものであり、その後の店舗の移動、業態変化、値上げや質的推移については当然ながら反映されていません。2000年8月に追加調査を実施する予定となってはおりますが、その網羅性については保証の限りではありません。

 また記載された評価についてはすべて純粋に評価者個人のものであり、JICAおよび日本国政府はその内容について一切関知するものではないことをここに明記しておきます。

追記:なお本調査は、海外援助調査のための支援調査として行われたものではありますが、モンゴルへの旅行者にとっても有用であることは容易に予想がつきます。2000年4月現在、モンゴルのウランバートルのレストランについて、網羅性においても包括性においても、さらには調査手法の一貫性においても、さらに調査対象の数の多さにおいても、本調査に勝るガイドは世界中に一つたりとも存在しておりません。
 Lonely Planet のモンゴルガイド [1]は、現在の最新版が 1997 年出版で内容は 1996 年時点のものです。1996 年はモンゴルの経済状況が最悪だった時期であり、当時からウランバートルは一変しているため、LP の記述はほとんど役立たずです(ただし、地方部はあまり変わっていないため、地方では有用です。さらに、LPは少なくともある程度一貫性のある調査手法をとっており、網羅性も高く、情報が新しければ比較的信用できます。ただし味の嗜好については著者によりばらつきがあるのでなんとも言えませんが)。
 また「地球の歩き方: モンゴル」 [2]の、特にレストランやホテル系に関する読者投稿に基づいた部分は、まあはっきり言って浅はかな気まぐれに基づく印象記の寄せ集めです。新しい分ちょっとはいいところもあります。しかしながら、本調査の前ではゴミですな。さらに「地球の歩き方」の情報はモンゴル編に限らず、なんら編集部による確認作業もなく、きわめて無責任なものであることも、多くの人々の指摘するところです。あらゆる調査において、専門のリサーチャーが適切なリサーチ手法を採用することがいかに重要か、この一例からも理解できようというものです。
 本調査が、モンゴルを旅行しようという人々に対してもきわめて有益であることを確信するものであります。

目次へ

2. 食べ方の基本と主要メニュー

2.1. 食べ方の基本

 ウランバートルのレストランは、気候のせいもあってあまり通りから中の様子がわからないようになっています。だから最初は入るのがためらわれる場合が多いのですが、実はそんなに心配はありません。とりあえず入って、メニューを見てから、すわるかどうか決めればいいのです(地元の人もみんなそうしています)。したがって、あまり怖がらずにとりあえず中に入ってみて、カウンターやレジに置いてあるメニューを見みましょう。気に入らなければ、さっさと出ましょう。

 店員も、みんな親切になっています。昔東ドイツやポーランドで受けたような「あんた、なにしにきたの」みたいな無礼な扱いは受けませんし、みんないっしょうけんめい助けてくれようとします。さらにかなりの店には、英語メニューが置かれるようになっています。したがって、ウランバートルでの食事には、もうあまり苦労する必要がないでしょう。結構気軽にあちこち入ってみてください。

 また、バーとカフェとレストランに明確な差がないのもここの特徴のようです。特に昼にはとりあえずコーヒーだけ頼む、といったことも、どこの店でも十分可能です。入ってみて、なんかアレだからコーヒーだけで出てくる、というのもオッケー。雰囲気をつかむには重要です。

 一方、注意が必要なのは夜です。ウランバートルの飯屋はどこも閉店が非常にはやくなっています。またバーのたぐいではまともな食事は出ません。したがって、夜遅くなってから食事をするのは結構大変です。一つの目安は、21:00です。この時間以降に食事ができる店は、きわめて限られています。これについては、わかった範囲で以下に記述しておきます。

2.2. 値段の目安

 ウランバートルの場合、一品2000Tgを越える料理というのは、かなりいい店にいかない限りありません。通常はどんな料理も1000Tg以下です。1000TgというとUS$1.00、ほぼ100円だと考えてください。

 このくらいの値段だと、しばらくするともう何もこわくなくなります。店に入って、メニューがモンゴル語しかなくても、適当に指をさしてなんかいい加減に出てくるのを待つ、ということが十分可能です。

 昼食は、現地の感覚で言うと、一食1000Tgくらいがふつう、2000だと「いいもの喰ったな」という感じです。つまり一食100円くらい。

 晩飯となると、これはどの程度の店でどのくらいのものを喰うかによってかなり変わります。特に酒が入ると変わります。缶ビールがだいたい、1200から1600Tgという世界でしょうか。2000取られると、なんかぼったくられた感じがします。通常、現地的感覚の店にいって喰うと、安いところでビール込みで一食3500Tg、ワインを飲んだり、高い外国人用の店にいったりすると、一食12000Tgくらいというところです。

2.3. 主要メニュー

 ご存じかと思いますが、日本でのいわゆる「ジンギスカン」というやつは、モンゴルにはありません。基本、肉を焼く料理というのは、通常はあまり見かけません。肉を焼くというのは、とても贅沢なことなのです、肉を焼くと、脂が落ちて燃えてしまうからです。羊を塩ゆでにしてスープごと飲む、というのがモンゴル料理の基本です。いためるのも、まあありです。

 以下に、モンゴルにおいて制覇しておくべき代表的な料理をあげておきます。一応の心構えとして、すべてデフォルトは羊です。それ以外は明示的に指定する必要がありますし、それもあるかどうかは不確実です。羊がだめな人はかなりつらい思いをすることは覚悟しておいてください。なお、モンゴルでは、羊がいちばん安く、ウシ、ブタと続いて、鶏肉がとびぬけて高くなっています。魚は……どう思います? いわずもがなでしょ?

テフテル
ライス混じりのミートボールみたいなものです。
ツイヴァン
 自家製小麦粉太麺の焼きそば(というか焼きうどん、というか焼ききしめん)です。麺はちょっと粉っぽい感じで、さらに味付けはきわめて薄く、軽く塩があるかないか、というくらい。
クイツァイ
 味の濃い(ちょっと甘辛い感じ)肉野菜スープに、春雨が入った感じのものです。
ブーズ
シュウマイのような水餃子のような代物です。英語ではdumplingと表示されます。後出のお茶にぶちこんで出てきたり、そのまま皿に載せてクリームをかけて出てきたり、食べ方はいろいろです。
シュニッツェル
まあ肉に衣がついたような代物。
マントウ
饅頭(まんじゅう)ですな。下の蒸しパンと同じモノである場合がままあります。
蒸しパン
Steamed Bread、と表示されています。これはとってもおいしいです。パン生地を薄く積層させてねじったのを蒸した感じで、薄くはがれる感じのまんじゅうの皮部分のみ、という感じ。モンゴルのパンはまずいのですが、これだけは例外です。
チャイ
 Tea、なのですが、Tea with Milkというものには注意が必要です。これはモンゴル式の、羊の乳を出枯らしのお茶で薄めたようなもののことです。紅茶がほしいときには、「リプトン」と頼むのが無難です。
コーヒー
 コーヒーも、通常は3 in one というやつで、50%が砂糖になります。ブラックコーヒーと書いてあっても、砂糖が入っていたりするので、警戒が必要です。
目次へ

3. 店舗ガイド

 今回の調査は、MPC(中央郵便局)にオフィスをもらってやっていたので、ここを起点として考えることにしましょう。

3.1. MPCから平和通り(Enkh Tayvan Ave.)を西に

BMS Fast Food
 これが正しい名称かはわかりません。Baga Toyruu通り沿いの、平和通りとのT字路近くにあります。建物の角のところに、緑の字で看板が出ています。英語メニューあり。カウンターで注文してから席にすわると、あとから持ってきてくれます。
 メニュー一品が500〜1500Tgというところ。お茶やサラダを頼んでも、2000Tg以内でおさまります。ただしチキン系は値段が高く、一品2000Tg以上で、しかもかなり量があるので、これを昼に頼むのはよほど食欲のある人以外は控えたほうがいいでしょう。料理はすぐ出てくるし、昼休みになると激混みで、地元民の評価も高い感じです。
 どれもはずれはないのですが、Dumpling with teaには注意しましょう。今泉さんがはまりました。これは水餃子を、上記のチャイの中にぶちこんだ代物です。また、ジュースはレモネードとフルーツジュースとオレンジジュースに明確な差があるのかないのか、必ずしもはっきりしません。

??? Restaurant
 BMS Fast Foodの並び、同じビルです。入り口がかなりこぎれいな青い正面になっていて、キリル文字でRestaurant(PECTOPAH)と書いてあります。モンゴルで外装に気を遣うのは珍しい。内装もかなり高級ですし、店員もそこそこ親切でサービスもよろしい。英語も通じます。
 料理のできもよく、味もあかぬけた、軽い味に仕上げてありますし、盛りつけもこぎれい。ビールもなかなかそろっているし、Black coffeeを頼むと、砂糖なしのブラックコーヒーが出てきます(インスタントではありますが)。夕食にも十分使え、モンゴルに慣れていない人でも違和感なく食べられます。
 値段はメインが最低2000Tgから、という感じ。スープやサラダも、ちょい高めで1000前後からですが、それだけの価値はあるでしょう。おそらく夕食でビール2本くらい飲んでも、たぶん一人1万Tg以下でおさまるはずです。
 メニューの英訳がときどき変なので、メニューの一部は正体不明です。とくに、Fish with Beerというなんだかよくわからないメニューがありますので、だれか試してみてください。まさかビールに魚が入っているのかな?

Hot Pot Restaurant
 BMS Fast Food のほぼ向かいにあります。赤い看板で、漢字と英語とモンゴル語が併記されています。Hot Potといっても、むしろ水たきに近い感じで、森川が期待していたような真っ赤なスープのしゃぶしゃぶではありません。
 店内はちょっと薄汚れた感じですが、ひいてしまうほどではありません。メニューは、モンゴル語と中国語が併記されているのと、モンゴル、英語、漢字の参加国語併記のものがあります。「イングリッシュ、イングリッシュ!」とわめくと英語つきのやつがでてきますからがんばりましょう。英語のがなくても、漢字でほとんどはわかります。
 店員は、英語はわかりませんが、いっしょうけんめい身振りでいろんな説明をしてくれます。中国語は理解できるので、「ピージュ、イーグァ!」(ビール一本!)などと言うとなごみます。ただし、ビールは室温で、韓国製のビールしかありません。
 鍋で、肉(牛か羊)が一皿1200Tg、野菜その他が一皿800Tgです。魚や鳥や豆腐もあります。かなり量はありますので、一人で肉一皿、野菜一皿くらいが適量よりちょっと多い感じかな、というところ。基本は味噌ごまだれのようなものが出てきて、すべてそれにつけて食うようですが、その他いろいろつけあわせが出てきます。また、お通しに、キュウリのゴマ油あえのようなものが出てきます。
 味は全体に、日本の鍋物をちょっと泥臭く(羊くさく?)した感じでしょう。洗練されてはいませんが、おいしいです。満腹して、ビールこみで7000とか8000とかいう世界でしょう。10000Tgいくにはかなり根性がいります。人数多めのほうが吉ですが、二人くらいでもなんとかなります(一人だとつらいでしょう)。

???Fast Food
 BMSからBaga Toyruu通りをちょっと北上すると、映画館のようなものの前の広場に出ます。その北側のところに、赤い看板を出してるのがこの店です。名前はよくわかりません。隣に屋外ビリヤードが出ています。
 中はとてもこぎれいで入りやすいし、メニューは英語でしかも写真入りで安心です。店員も、てきぱきしてるし、タッパがあってスタイルのいい美人だし、オッケーって感じです。明らかに韓国がかっていて、キムチが出てきたり、キムパプ(太巻きみたいなの)があったりします。
 料理は一瞬で出てきます。味もかなりいいし、量も適量という感じ。昼飯時には地元民でいっぱいです。(そのときは相席になります)。
 値段は、一品700くらいから最高でも1500とかいう世界です。2000Tg食べるのはたいへんかもしれません。BMSと並んで昼飯には最適でしょう。

Jazz Club Jason
 MPCから平和通りをState Department Storeのほうに歩いていくと、右手にちょっとログハウスタッチの店があります。そこです。
 内装はとてもこぎれいで雰囲気はいいです。が、店内はもっぱらソファだったりして、飯屋というよりはむしろジャズバーです。ステージもあり、たまにライブなどもあるようです。
 飯もあります。が、高いです。最低でも一品3000Tgはしますし、メニューも特筆すべきものではありません。ここに食事にくるのはお勧めしません。食後に、一杯飲みにくる、といった利用法が正しいでしょう。また、ブラックコーヒーは砂糖ぬきで出てくるので、コーヒーを飲みながらなごみにくるのは正解です。

Leo Cafe
 Jazz Clubからさらに平和通りに沿って進みます。Jazz Club, American なんとか、Nomin Electronicsと続いてから建物が一段後退して、ロシア大使館広報板のようなものが右手にありますが、さらに進みましょう。地下道をさらに通り過ぎると、また建物がもとの壁面線に戻ってきます。ゲーセン、銀行、カフェと続いて、建物から一段張り出している赤い壁のようなものがあります。そこがこのLeo Cafeです。
 一回ちょっと下ってから、階段で中二階のようなところに出ます。ガラス張りで店内が明るく、きれいで、外から中の様子もわかるので安心して中に入れます。英語メニューもあります。何を食べてもはずれは特にありません。Teftelあたりが、モンゴル飯入門としていいでしょう。

????
 Leo Cafeのすぐ手前(MPC寄り)の半地下のところです。テーブル4つの薄暗いところで、メニューはモンゴル語しかありません。他にだれか客がいるか見極めてから入り、その人が食べているものを指さすのがいちばん確実です。
 半地下なので店内は薄暗いですが、きれいにしようとはしていますし、壁などの装飾に配慮が感じられます。
 安いです。が、決しておいしくはないです。標準的なモンゴルの飯屋ってこんなものかな、という感じではないでしょうか。一食1000Tgですみますが、それ以上特に食べたい気も起きないでしょう。

El Latino
Leo Cafeのすぐ隣で、Leo Caf*と似た作りです。入り口が木の扉でちょっと入りにくいかもしれませんが、入っておみやげ屋をぬけてすぐ右手の階段をあがるとレストランです。名前の通り、キューバ・メキシコあたり料理の店です。
 中身はなかなかおいしく、値段もそんなに高くありません。一食、3000Tgするかな。辛さも、味付けのうすいモンゴルにあっては、かなりきちんとした辛さになっています。店内もきれいでお奨め。

State Department Store一階のレストラン
 高本さんが自信をもってお勧めしない、はずれレストランです。あまりのまずさに、あの高本さんが気分を悪くしてしまった(感情的にではなく、消化器系的に)そうなので、近づかないのが人の道のようです。まわりにまともな食い物屋もそこそこあることですし。

Dulgnar Tuya Restaurant
 State Department Storeのすぐ裏にあります。空色だか薄緑だかの建物で、Bar Shop Restaurantと英語で入り口に書かれています。ちょっと外装はきたない感じで、なんか日本の公衆便所を思わせる建物です。また扉がクッション張りで変に厚く、入るには勇気がいりますが、気合いを入れて入りましょう。入ってすぐは売店になっていて、そこから右手がレストランです。テーブル4つほどの、小さなところです。
 中もちょっと汚い感じですが、そんなに悪くはないです。Lonley Planetにも出ていますが、当時は黒板メニューしかなかったのが、いまは一応英語メニューもあります。ただしLonley Planetでは絶賛されていましたが、そこまで大騒ぎするほどのものとは思えません。でもおいしいです。

Pizza de la Casa (イタリア料理)
 なかなかよいところです。店内もこぎれいで、ピザもまとも、それ以外の肉料理も悪くありません。つけあわせで出てくるパンもおいしくて、これはモンゴルでは非常にめずらしいことです。また、ウェイトレスの女の子もそこそこかわいいし、特にこっちの頼んだ品がないとか、ちょっと複雑なことを説明しなきゃならないとかいうときに「まあ困ったわ、どうしましょ」という顔で眉をひそめると、なかなかいい風情です。
 ワインは、あるものしかありません。在庫がたいがい3本くらいしかないようで、それ以上頼むと、さっきの子が買いに出ていって、なんか適当なのを買ってきます。ですから同じワインを何本も、というのは不可能です。
 外国人プライスの外国人料理だと思ってください。おいしいけど、高め。メインは一品4000くらいです。

Adistit Restaurant
 State Department Storeからちょっと先にいった、平和通りの向かい側にあります。アパートの建物からちょっと張り出して、赤とミラーガラスを基調にした、ハイテク調を目指してちょっと失敗したような建物があります。そこです。入り口を入って、警備員の前の右側のドアがレストランです。
 内装はとてもこぎれいです。店員もしっかりして、まあまあ英語もわかります。メニューも英語です。なぜかあまり客が入ってないのがアレですが。
 料理の品数は少ないです。日曜の、かなり遅い時間までやっているのがとてもありがたいところです。値段は、まあ標準と言うところで、ビール付きで夕食を食べて5000弱。。

Los Bandidos (メキシコ・インド料理屋)
 メキシコ・インドという取り合わせはわけわかんないですが、きわめて優れています。ウランバートルの飯屋の中では最高ではないかという説もあるくらい。
 場所はちょっとわかりにくいです。 変なアパートの真ん中に出るので、とても不安になりますが、一応アパートの横に看板が見えます。
 入り口のところにくると、外装も、ちょっとメキシコ・ウェスタン風にしようとかなり努力したところが見られて好感が持てます。ちょっとログハウス風の感じにしてあります。
 だいたいメニューはどれを食べてもはずれなし。あまりにできがよすぎて、かえって不満なくらいです(一つくらいモンゴルらしくはずしているところがあったほうが愛嬌でしょう)。
 値段もそんなに高くありません。結構頼んで、一人7000Tgくらいの感覚です。

3.2. MPCの東側

Fine Art Restaurant
 MPCの交差点の対角線上にある白い建物の二階のレストランです。入り口がきわめてわかりにくく、たぶんそのせいもあって、人がほとんど入っていません。CDショップがあるので、そこの入り口を入りましょう。警備員の横を通って左にまがると、階段があります。それをのぼりましょう。のぼりきったところにあります。
 飯はそんなに悪くありません。が、まあ特筆すべきものもない感じでしょうか。そこそこ洗練されて無難です。また、Fine Art Restaurantだけあって、盛りつけには気を遣っています。サラダは魚型に盛りつけてくるとか。一品、1500Tgから高くて3000Tgくらいで、値段もちょい高めですがそこそこです。店員は、だれもいないのをいいことに好きな音楽をかけまくっているので、それもまあおもしろいです。
 ただし、グラスワインだけは避けましょう。人が入らないので、どうも酒の回転が悪いらしく、1年前に栓をあけたとおぼしき代物を注いできます。アルコールも香りも味も抜けた、ひどい代物です。

 レストランの隣は、ちょっとしたビールバーみたいな感じで、その向こうは画廊っぽい感じです。モンゴルアートの現状がわかる感じです(あまりレベルが高くないのがわかるでしょう。カンディンスキーのまね、とかクリムトのまね、とか、ゴッホのまね、とか青い頃のピカソのまね、とか。どれを見てもだいたいオリジナルがわかってしまうのは、まあご愛敬ってやつですか)。飯を食ったあと、ちょっとそういうのを見物して見るのもいいでしょう。

City Coffee
 スターバックスっぽいコーヒー屋で、結構いいです。ベーカリー部分と、真ん中の鍋物屋と右側のコーヒー屋にわかれていますが、コーヒー屋はなかなかいい感じです。比較的まともなコーヒーが出てきます。
 ただし高いです。エスプレッソ一杯1200Tg。日本的な感覚だと、800円のコーヒーって感じでしょう。昼飯には、2500Tgのセットで、カレーかハンバーグがあります。高めですが、まあ初心者には許せる範囲でしょう。パンとかも結構あって、テイクアウトもできます。インターネットカフェにもなっていて、30分2000Tgです。ここのマシンにはどういうわけか日本語のフォントが入っていて、ちゃんと日本語のサイトも読めます。

Marquis
 ウランバートル有数の、タカピーな感じの高級っぽいレストランです。City Coffeeの隣ですが、入り口は建物をまわって、次のKahn Brauに面したところにあります。小さいながらもガラス張りで明るい店内、壁にささった銅のバラ、白いテーブルクロスに蝶ネクタイのウェイター・ウェイトレス、となかなかがんばっています。
 値段は高めで、昼飯でも3000-4000Tgは確実にいきます。夕食だと、やっぱワインが入って15000Tgとかいう世界でしょうね。でも、味は上品だし、内装に見合った洗練度です。
 日曜の昼下がりには、モンゴルのコマダムたちがだべっているのが見られます。

Khan Brau
 City Coffeeのすぐ南にある、丸い建物です。この建物の外周部がレストランで、中心部分はビヤホールになっています。なお団長の情報によると、このビヤホール部分に一人でいると、その筋のおねーさんたちが声をかけてくださるとのことです。どうして団長がそれをご存じなのかは不詳。実際の調査でもこのくらいの情報収集力を発揮していただけるといいのですが。しかし、それはさておき、このビヤホール部分はステージもあってライブなども見られそうです。
 いずれも店内はとてもきれいで、結構よい雰囲気です。現地人もガイジンもたくさんきています。ビヤホール部分も、レストラン部分も、店員はてきぱきしていて好感が持てます。メニューは英語、ドイツ語、モンゴル語の三カ国語併記で、ちょっとまごつきますがすぐ慣れます。
 料理はまあピザとかいったあたりもあるし、ステーキなどもあるし、かなりいいですが、高いですね。一品4000とかいう世界で、だいたい8人で行って一人12000くらいですな。結構します。
 なお、名前は「ハンブロイ」と発音すると理解されるようです。

ブルガリアレストラン
 Fine Art Restaurant と、たけちゃんラーメンの間にある、MotoRockのところを、お寺っぽいものの方へずっと奥に入っていきます。駐車場の奥に黄色っぽい建物がポツンとあります(夜には、建物のてっぺんにチカチカ電飾がつきます)。どうみてもいかがわしい場所で、いかにも場末感をたっぷり漂わせていますが、中身はしごくまともなので驚きます。
 入ると中はすごく暗く、バーと、ダンスフロアがあります。しまった、これはくたびれたおねーさんが待っているにちがいない、と思いますが、待っていません。ウェイター兼バーテンはなかなか手際いい感じです。
 英語メニューあり。ブルガリア料理は、ほんの4品くらいしかないです。ほかはいつものステーキやポークやローストチキンなど、こちらの洋風レストランの定番ですか。ちなみにブルガリア料理というのは、基本はジャガイモと挽肉です。
 値段はまあ、一品2000Tg台後半という感じで控えめです。味もそんなにはずしていません。

Edelweis
UBホテル内部の一階にあります。昔はここと、UBの中央食堂くらいしか毛唐の口にあうレストランがなかったそうですが、いまはここも、特筆すべきものではありません。

学生快餐
 平和通りを、UBホテルからさらに東側に進んで、右側の橋をわたって2つ目の建物にあります。なんか香港でよく見かけそうな、中華っぽいところです。学生、というだけあって、安い定食屋ですが、軽い昼飯を食うにはちょうどいいでしょう。メニューはモンゴル語のみで、カフェテリアスタイル。混んでいる時にいって、ほかの人が頼んだものを指さして注文するのが一番安全です。味は、特筆すべきものでもありませんが、否定すべき代物でもありません。1000Tgを越える代物なんか何もなく、麺類が多いですが、そのくらいです。

Lion Restaurant
 学生快晩餐と同じ建物です。外に、料理の写真入り看板が出ています。中のメニューは、ほんの一部しか英語化されておらず、ちょっと苦労しますが、その中にNoodle with Soupというのがあって、なかなかお勧めです。これはラーメンなのですが、中華麺の代わりにそうめんを使っています。結構おいしいです。これだけちょい高めで1400Tgほど。  雰囲気としては、ダンスフロアが広くて照明もちょっとお金をかけた感じで、夜のほうが盛り上がりそうな感じではあります。店主はBackstreet Boysがおすきなようで昼飯の間、Larger than Life を20回くらいかけていました。

インド料理屋
 ウランバートルでベスト10には確実に入るでしょう。結構量があるので注文は慎重に。

ウンドルルホテルの中華料理
 エビは避けましょう。でっかい皿に、さびしく一匹だけ車エビがのっかって出てきて、とても悲しい気持ちになります。それ以外のものはまあまあ。野菜の補給なんかにはよいところです。

3.3. UBホテルの北側

イタリア料理
 UBホテルの向かいの、煉瓦造でガラス張りの部分が半円形につきだした建物の中です。Casa del Pizzaと同じ経営だそうで、中身も同じとのことです。ウヌルさんの見解ではウランバートルでいちばんいい、とのこと。
また、同じ経営のピザ屋もここからちょっと北上したところにあります。

カフェ・ド・フランス
 いついっても、モンゴルのフランス語圏人口の2割くらいは結集している感じ。店主は、コルシカだかの出身で、一応本場仕込み。
 店は中も外もとてもきれいに作ってあります。また料理も、ウランバートルでベストの一つでしょう。

目次へ

4. 安全について

 いろんな国にいくと、日本の各種援助機関の関係者はものすごくナーバスです。通りの向こうにわたるにも車を使えとか、暗くなったら(明るいうちでも)絶対に一人で外を歩いてはいけない、とかいうことを真顔で言います。が、必ずほぼナンセンスです。

 モンゴルでもまあ、そういう説明はうけました。しかし、たとえば夜になって外を見てみても、人がいっぱい歩いているのがわかります。女の子の2人組(ご商売の方ではなく)なんかもいっぱいいるし、子供連れもウロウロしています。警官や軍人らしい人も結構います。だいたい深夜くらいまではそこそこ人通りは有ります(場所によってもちがうでしょうが)。そういうところでは、まず安全です。特にモンゴルの場合、日本人は現地人と見分けはまずつきません。モンゴル人は肉を喰ってるだけあって、ガタイもでかいし、文字通りモンゴロイドですし。現地人がウロウロしていれば、われわれもウロウロできます。まちがいなく。

 もちろん、かつてより犯罪は増えているでしょう。その意味では危険は増しているのかもしれません。でもそれで、夜中ちょっと出るのにもタクシーを、というのはまぬけです。襲われる人はいるでしょう。追い剥ぎにあう人もいるでしょう。すりもいるでしょう。でも、そこそこ無事にすごすためのノウハウはあります。それさえわかれば、よほど運が悪くない限り危険な目にはあいません。特に、数人で連れ立って歩けば絶対。

 ……と書くと、「いや3人連れでも、10人くらいに取り囲まれた例があって云々」とかいう話が持ち出されてくるんですが、これがかなり特殊な事例なのは、まあ明らかでしょ。そんなのが日常茶飯で行われている場所では、人は夜中に出歩いたりしないのです。というわけで、ちょっとしたポイント。

何もせずに立っている人には気をつけよう
 これは世界各国常識で、とにかく目的があって歩いている人たちは、悪さをしません。忙しいからです。古来、「小人閑居して不善をなす」ともうしまして、なにもしていない人が危険です。つねにまわりを見て、なにもせずに、こっちの様子をうかがっている人がいないかどうか気をつけるようにしましょう。

酔っぱらいは避けよう
 モンゴルは、モンゴル版ズブロッカのアルヒのおかげか、酔っぱらいが結構います。たいがい一人で、千鳥足なのですぐわかるし、なんかブツブツ言ってます。予測がつかないので、近寄らないこと。酒場でも、入って明らかに泥酔したやつがいたら、すぐ出ましょう。

カップルにくっついて歩こう
 カップルで歩いている人たちは、通常は別のことが頭にありますので、悪さはしません。だいたいメインの通りではいっぱい歩いています。これが多いようなら、たぶんそこは大丈夫です。じゃましちゃ悪いので、ちょっと後からさりげなくついていきましょう。

4、5人で歩いている現地人を探して、それにくっついて歩こう
特にUBホテルの周辺は、常時人が歩いています。人通りが減ることはありますが、しばらく見ていると、真夜中前ならかならず数人の集団がいます。そのあとにくっついて歩くことをお勧めします。ただし、泥酔していないのを選ぶこと。大学生っぽい集団が最適です。
目次へ

5. 今後の調査予定

 また、もしこれ以外になんらかの情報をお持ちの方、ないしは独自調査を実施した主体が存在する場合、筆者まで是非ともお寄せいただきたい。その場合、できる限りfinal reportに反映させるとともに、ここにその名を記して栄誉と業績を讃えるものとする。

目次へ

参考(にならなかった)文献

  1. Lonely Planet ed. Mongolia (1997, Lonely Planet, Sydney)
  2. 地球の歩き方 ed. モンゴル (1999, ダイヤモンド社, Tokyo)
  3. World Bank ed. 海外援助の役割と食糧問題 (1998, World Bank/世界銀行, Washington/東京)



YAMAGATA Hiroo J-Index


Valid XHTML 1.0! YAMAGATA Hiroo <hiyori13@alum.mit.edu>