2014 年の噂
風の噂ではございますが……
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2014/02
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ちょっと前に、東大で日銀黒田総裁の講演を聴いて、日銀の持っているインフレ目標達成について少し疑念を述べた。2 年で 2 %と述べているのに、かれらのモデルだと、2 年で 1.9% にしかなっていなかったという話だ。
さてこれを読んでか読まないでかはわからないけれど、暗黒卿こと高橋洋一が新聞のコラムで、ぼくのような見方は日銀の目標をきちんと理解していない、と述べている (連載:「日本」の解き方:インフレ目標を理解していない日銀政策委員 「2年で2%」めぐる誤解 zakzak.co.jp, 2014.01.28)。2013年4月1日に「2年で2%」と言ったのは、2015 年 4 月時点で 2% を越える、という意味ではなく、2015 年度中(つまり 2016 年 4 月までに)2パーセント、という意味なんだという。
うーん。申し訳ないんだが、ぼくはどこを見るとそういう解釈が出てくるのかはよくわからない。ぼくは 2 年で 2 パーセントというのは 2015 年 4 月までだと思っていたし、いまの日銀の方針に賛成どころか土下座して拝みたいくらいに思っているこのぼくがそう思うのであれば、他の多くの人もそういう印象を持っていると思うなあ。さらに、ブログの記事にも書いたけれど、「2 年ちょうどでジャスト 2 パーセント」ではなく「2 年よりなるべく早い時期に 2% 以上」と言っている以上、ぼくはこれが 2015 年度内のどこかという意味には思えないんだが。
ましてそこで、「上下1パーセントポイントくらいは幅があるのが常識」というのは、ちょっと逃げを打ちすぎでしょう。1パーセントでも許せというのは――10パーセントいくつもりが9%でした、というなら誤差範囲でもいいけど、2%が1%なら半分ではありませんか!
もちろん、金融緩和がいい効果を挙げているのはまちがいないし、また経済政策としては、2015 年 4 月の時点で 2%にならないからまったくダメ、というものではないのはもちろん承知のうえ。でも、いまの黒田日銀緩和だって、たまたま安倍首相が、その点についてはちゃんと理解してがんばってくれた、という政治的な条件のおかげで実現しただけだ。自民党の他の議員だって、まして風見鶏でしかない(しかも高橋コラムでも指摘されているようにすでにブレ始めている)日銀審議委員どもだって、いつ手のひらを返すかわからない。そういう政治的に微妙な状況で、政治的につけこまれる口実をつくるのはまずいんじゃないか、とぼくは思うのだ。
むろん暗黒卿も大変政治的に立ち回る人だし、あのコラムもたぶん政治的に解釈すべきではあるんだろう。ああいうコラムが出てくること自体、ちょっとその筋で不安感が出ている証拠かもしれない一方で、おそらくぼくみたいなヤツが余計なことを言うな、というメッセージでもあるかもしれない。まあそれはちょっと考えすぎか。でも、ぼくはまだまだ危ういと思っているし、消費税口実にもうちょっとがんばってほしいな、と今でも思っているのだ。 (2014/02/02, id)
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YAMAGATA Hiroo<hiyori13@alum.mit.edu>