最近の噂
風の噂ではございますが……
なお、リンクする場合には各コメントの日付のあとにある「id」をクリックすると、そのコメントのユニーク id が url 欄に表示されるぞ。
2010/07
-
トマス・ピンチョン『メイスン&ディクスン』についての読売新聞書評について、2チャンネルでこんなコメントを見かけた。下衆の勘ぐり、と言えなくもないし、都甲幸治が意識的に利益誘導するような人物ではないと思いたい一方で、確かにそういう邪推をする余地が十分にあるのも事実。メイスン&ディクスンは、だれかが何らかの形で書評すべき本なのはまちがいないし、そのためには背景知識のある人にそれをやらせるのが妥当ではあるのだけれど、英文学業界は狭い貧しい世界なので、知識のある人といえばこうした同業者のお手盛りになりがちだ。そして今回の書評も、そういう立場に自覚的な、批判を跳ね返せるだけの厳しさやおもしろさを持っているかといえば、残念ながらそうは言えないと思う。かく言うぼくも、ピンチョンが少しは売れてほしいとは思うんだけれどね。でもメイスン&ディクスンはぼくですら原著50ページで挫折した本ではあるし、決して万人にお勧めできる本でないのもまちがいないところ。それを敢えてほめるなら、もっとポイントをしぼる戦略性がないと、内輪のお手盛りと言われても仕方ないと思う。それがむずかしいのはわかるんだが、でもそれで(朝日の水準とある程度は比肩するものなら)高い金もらってるんだし。本当は読売新聞の文化部がそうしたバランスを考えて、文句のないフェアな書評になるよう配慮しなくてはいけないんだが……
でも多くの書評委員は、敢えて火中の栗を拾うようなこともしたがらず、こんな分厚いめんどくさい本なんか読むのもアレだし、まして書評なんぞしたがらないというのもわかるだけに、むずかしいんだけどね。ぼくなら喜んで手を挙げるだろうが、たぶんそれがきわめて読者を選ぶ本だということをくどく書いてボツにされるだろうなあ。
(2010/7/4, id)
YAMAGATA Hirooトップに戻る
YAMAGATA Hiroo<hiyori13@alum.mit.edu>