Valid XHTML 1.1! cc-by-sa-licese

日本経済新聞 交遊抄(小野善康)

山形浩生

『日本経済新聞』2010年7月26日号

要約:小野善康教授は、こんなチンピラとかつてネットでガチのけんかをしてくれてありがたかったけれど、最近の増税談義ってひどすぎで当時ぼくが噛みついた話そのままじゃないか。


 ぼくのような一介の片手間サラリーマン翻訳者が、経済分野の片隅で名が知れているのは、インターネットのおかげだ。大規模な金融緩和でデフレを解消して景気回復という、リフレ政策の最初期論文を、十五年前にネット上で翻訳紹介したのが一つのきっかけだろう。このリフレ派の多くは、田中秀臣や夭逝した岡田靖など、ネット上での活躍も目立つ。かれらとのやりとりは、多少はリフレ説普及に貢献したと思いたい。

 その過程で多くの経済学者とネット論争をさせてもらった。かなり大物も相手をしてくれたのは、昔はネット人口がまだ少なく、人目を気にしない自由な議論ができたからだろうか。

 その一人に、いまや菅首相の経済ブレーンとされる小野善康教授がいる。増税して景気回復という、変わった理論を小野教授は十年前から主張していた。そして、増税したらお役人が無駄遣いして景気は悪化しやしませんか、というぼくの批判を受けてネット上で論争となったのだ (検索すればいまも読める)。

 いまやその理論はそのまま政策に反映されかねない。だがぼくの当時の批判もまだ有効だ。こんな一素人相手に現在にも通じる政策論争につきあってくれた小野教授には、心底感謝している。ついでにいま、あのときの批判を今一度思い出していただければ、なおさら嬉しいのだが。

その他雑文インデックス YAMAGATA Hirooトップに戻る


YAMAGATA Hiroo <hiyori13@alum.mit.edu>
Valid XHTML 1.1!cc-by-sa-licese
このworkは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
の下でライセンスされています。