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「みんなの意見」は案外正しい

環境は悪化しているのか

(月刊『BAN』209/08号)、pdf版

山形浩生

要約:環境問題は、かつての最悪な代物はもう解決してしまっている。残っているのは、どうでもいい話、一世紀たたないと結果も対策の効果もわからないような代物。地球温暖化だって、問題ではあるけれど、一、二年でどうにかなる話ではないし、すぐに地球が滅びる話でもない。地球全体の話なので、ちっぽけな人間があまりあわてて何かをしても、速攻性はないしほとんど意味はない。あまり煽りにのらずゆっくり対応すればいい。


 むかしは環境問題といえば、水俣病や光化学スモッグなどの公害でした。大量の人が死んだり障害を起こしたり、朝礼中の小学生がバタバタ倒れたり、あるいは山がはげ山と化し、川や海はヘドロと腐臭に満ち、だれがみてもひどいものではありました。

 でも、そんなひどい環境問題はほぼ解決しました。いまや世間は、十年に一人患者が出るかどうかの狂牛病とか、だれ一人影響が出ない、農薬多めの中国野菜とかくらいしか騒ぐネタがありません。一時は大騒ぎされた環境ホルモン問題も、まったくのガセでした。

 だから「環境はどんどん悪化している」というのはウソです。環境が悪化しているところも部分的にはあります。でも全体としては、ほとんどの問題はおおむね解決済みです。

 唯一、残っている大きそうな話が、地球温暖化です。これは二酸化炭素が熱を貯める効果があるために発生する現象です。人々が石油石炭を燃やすので空気中の二酸化炭素も増え、それが太陽からの熱を貯めて、地球が温暖化している、という話です。

 さて、地球の温度がここ数十年、上がり続けているのは事実のようです。そして、人間による二酸化炭素がそれに貢献しているのもほぼ確実です。

 ただ、それだけが原因かは議論が分かれます。これまでも地球は氷河期になったり暑くなったり、勝手に温度が大きく変化しているのです。それに百年単位の話なので、夏が少し暑いとか暖冬だったとか、そういうレベルで温暖化の話をしてはいけないのです。

 そして温暖化がそんなに悪いことか? 温暖化のせいで台風が増えるとかいうのはウソです。海面は上昇しますが、東京やロンドンが水没したりすることはありえません。百年で十センチとかそんなものです。北極の氷も戻り始めているようです。実は被害は限定的です。

 そしてそれを減らそうとする試みが京都議定書です。各国が一斉に二酸化炭素の排出を減らそうと公約するものです。が、多くの参加国は目標を達成できそうにありません。二酸化炭素排出を減らすにはものすごくお金がいるからです。

 EUは昔から温暖化関係の国際会議でえらそうなことを言いますが、昔から削減目標をぶちあげては達成できずにうやむやにするのを繰り返しています。結局政治的なポーズなんですね。そして、議定書の枠外の発展途上国は、排出を大幅に増やしています。みんな生活水準を上げるためにエネルギーが必要だからです。

 そして、その京都議定書が完全に達成されたとしても、実は温暖化はほとんど止まりません。気候変動は百年単位の現象なので、数十年ほどでは全然影響がないのです。

 まとめると、環境が悪化しているというのはウソ。温暖化は本当だが、人間だけが原因かははっきりしない。そして、京都議定書で二酸化炭素を減らせば温暖化ストップとか温暖化防止とかいうのはまったくのウソ。温暖化の被害は、あるけど限定的だし、それに百年単位の問題は百年単位で対策をすればいいのです。

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YAMAGATA Hiroo <hiyori13@alum.mit.edu>
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