歯科夢。

© 1995 Jamie Zawinski <jwz@jwz.org>
dentation.


 あの去年の忌まわしい歯ブラシ事件について考えていた影響だろう、また歯の不安がらみの夢がぶりかえしてきた。いつもの、歯がぐらぐらしてきて、ゆびでそれを前後に動かしていじっていて、抜けちゃうんじゃないかと心配になるという夢を見た。ときどきこの夢だと本当に歯が抜けて、ぼくは夢の残りの間、それをなんとか元に戻そうとしている。ある人の話だと、こういう夢はカルシウム欠乏症の兆候かもしれないんだって。 scurvyなのかも。 でももっと目覚ましい、最近の歯トラウマ夢では、一部の歯が縦にまっぷたつに割れて、分離しはじめていた。片っ方を引っ張ると、なにかが裂けるような、ぐちょっという音がして、なんかべとべとした皮膜がそれに逆らおうとする。ちょうどかさぶたの下にあるねばねばとか、「ザ・フライ」でジェフ・ゴールドブラムの爪みたいな感じだ(おっと、またクローネンバーグつながりか。皿。えび。エビの皿。)

 ある晩、テレビをつけっぱなしで寝てしまい、目がさめると真夜中で、テレビでは中年男が目をさまして洗面所に歩いていくところだった。かれは鏡を見て、歯ぐきがおかしいなと気がつく。それをさわると、歯が一本ぬける。また一本引っ張るとそれも抜ける。そしてもう一本が、途中まで。男は長く引き延ばしたようなうめき声をあげると、洗面所から転がり出る。そして手を見下ろすと、指の爪がはがれてきている。男は悲鳴を上げて、するとすべてが元に戻る。

 半分寝たままの状態で、自分の繰り返し見た悪夢がテレビで上映されているのを見るのがどんなに不気味だったか、ちょっと説明しようがない。これが自分の夢じゃないのかどうか、自信がなかった。ひょっとして、単にテレビのまわりに夢を展開して、そして「これって夢かな」的思考をそのまわりにもっと巻きつけただけかな? で、ふたを開けてみると、それは夢じゃなくて、映画だった。Dark Angel: The Ascentというやつで、低予算B級映画なりになかなかできがよかった。

 これまたすばらしく不気味な歯科悪夢:

 こんどの歯科悪夢は、ぼくが鏡の前に立ってるところから始まる。そして自分の歯のなれの果てを眺めてるのだ。前歯二本が、長さ4--5センチくらいになって、ネズミみたいなのだ。

「まあそんなにひどくはないか」とぼくは思った。「そのうちすり減るだろう。いつまでもこんなじゃないよね」

 しばらくして、たぶん次の日だったんだろう、ぼくはなぜかそのつきだした歯かなんかをぶつけて、すると――はいご明察――そいつはいつもの湿ったシュポッという音を立てて抜けた。しかもその両脇の歯も道連れにしたので、前歯が4本なくなった。これが視覚的にどうなったかというと、犬歯がやたらに目立つようになった――牙が生えたみたいな! でも、これはちっともクールじゃなかった。さらに気がつくと、その犬歯も前歯と同じく育ちはじめていて、しかもこんどのはすごく高速に起きていて、育っているところがまさに目に見えるほどだった。それが長くなりすぎて、こちらの口を閉じる能力に影響しだした頃に、そいつらも抜けて、ぼくは柔らかい食べ物のみの人生に向き合うことになった。ちょうど入れ歯技術について思案し始めたとき、目が覚めた。


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