貪欲。

© 2000 Jamie Zawinski <jwz@jwz.org>
greed.


 先週になるまで、もうぼくは6ヶ月も車を運転していなかった。10年の半分以上にわたり、一日二時間ハンドルを握っていた身としては、これは最近になって自分の人生が明らかにいい方に動いている証拠だと思う。

サウスベイにでかけるのも一年ぶりだ(さらに大きな勝利!)でも、マウンテンビューにあるISPの共有施設に、マシンを運ばなきゃいけなかったのだ。クラブウェブキャストをオンエアできるようにするんだ。

 この道を運転したのはずいぶん久しぶりだったけれど、それでも目を閉じたままでだってできるくらいよく覚えていた。でも今回、あるものが前とはちがっていた。看板だ。

 この道を前にきたときには、高速沿いの看板は「モノ」を宣伝してた。もちろんどれもコンピュータ産業がらみのものだったけれど、でも人のつくった実際の「モノ」だった。モデムとか、サーバ用コンピュータとか、データベースソフトとか。

 いまじゃ、ものを売っている看板は一つもない。どれも貪欲そのものを売っていた。

 官僚機構を売ってるのもいくつかあった(マネジメントコンサルティング会社、あれやらこれやらをアウトソース)けれど、そのほとんどはただの……貪欲だ。証券取引から金融雑誌まで、どいつもこいつも同じ広告キャンペーン。貪欲はよいことです、お隣さんなんか踏みつぶして、金をつかんで逃げ出しましょう。何キロも何キロもの凱歌が、富を富そのもののために追求しましょうと言ってくる。製品について、あるいはこの会社よりこっちの会社を選ぶとなぜいいか、といった話は一言もなし。あられもないメッセージの上塗りばかり。たぶん、気が利いて賢いものにしたつもりなんだろうね。「えっへっへ、あなたたちのホントの腹はお見通しですよー!」みたいな。でも、実際はまったく醜悪なだけ。

 まるでゼイ・リブの主人公ロウディ・ロディ・パイパーみたいな感じ。不思議なサングラスを通して、エイリアンの支配者たちの真のメッセージを見てるみたいな: 「消費しろ」 「従え」 「これがおまえの 神だ


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