GNOME のねらいの一つは、オペレーティングシステムについてあまり技術的に細かい話を勉強しなくても、システムが簡単に使えるようにすることなんだ。でも、GNOME が提供するやさしいグラフィックインターフェースを使う場合ですら、いくつか基本的な UNIX の考え方は、わかっておく必要がある。初心者のために、この文書にそういう基本事項をまとめておいた。もし UNIX についてもっと詳しい情報が要るなら、システムについてきた文書を読んでほしい。それに各種の UNIX については、本やオンラインガイドがたくさん出ている。
以下のガイドは、UNIX や UNIX 系オペレーティングシステムすべてにあてはまる内容だ。 Solaris みたいな商業 Unix類にも、オープンソースの FreeBSD や Linux にもあてはまる。この部分の中身の一部は、 Linux Installation and Getting Started ガイドに基づいている。このガイドの著者は Matt Welsh, Phil Hughes, David Bandel, Boris Beletsky, Sean Dreilinger, Robert Kiesling, Evan Leibovitch, and Henry Pierce で、以下からダウンロードしたり、オンラインで読んだりできる: Linux Documentation Project または Open Source Writers Group
UNIX は、マルチユーザのオペレーティングシステムだ。同じコンピュータで複数のユーザが同時に(ターミナルを複数使ったりネットワーク経由で使ったりして)作業できるように設計されている。UNIX のもとでは、自分がだれかをシステムに教えるために、まずログインしないとダメだ。これはつまり ログイン名 (システムがあなたを識別するのに使う名前) と パスワード がいる。パスワードは、そのアカウントにログインするときの鍵だ。自分のパスワードを知っているのはその人だけなので、あなたのユーザ名でシステムにログインできるのは、あなただけということになる。ふつうはみんな、ログイン名として姓か名前をちょっといじったようなものを使う。たとえば本名がSasha Beilinson なら、ログイン名は sasha になったりするわけだ。
ユーザごとに、ファイルを置いておく場所はちがう(これをその人の ホームディレクトリ という)。 UNIX には、パーミッション(許可属性)の仕組みがあって ( パーミッション(許可属性) の節 を見てね)、きちんと設定された UNIX システムだと、ユーザはほかのユーザのファイルやシステムファイルは見られない。これは、ユーザごとに自分のシステムのいろんな部分(特に GNOME のふるまい)をカスタマイズできるし、それが他のユーザには影響を与えないということでもある。
すべての UNIX システムには システム管理者 という特別なユーザがいて、この人のログイン名は root だ。この人はシステムを 完全に コントロールできる。システムファイルや、ほかのユーザのファイルも全部アクセスできる。既存ユーザのパスワードを変えたり、新規ユーザを追加したり、ソフトをインストールしたり削除したり、その他なんでもできる。システム管理者は、ふつうはシステムのまともな機能に責任を負う人物だから、何か問題があったらこの人に相談してみよう。
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コンピュータのユーザがあなた一人だったとしても(たとえばコンピュータが個人用ワークステーションだとか)、ちゃんとユーザアカウントを作って、ふつうの作業はそっちでやろう。root でログインするのは、システム管理の作業が必要になったときだけにしよう。rootはなんでもできるから、とんでもない結果を招くようなまちがいだって簡単にできる。root アカウントというのは、手をちょっと振っただけで、都市を丸ごと造ったり破壊したりできるような力が身に付く、魔法の帽子みたいなものだと思ってね。破壊的なやり方で手を振るのは簡単すぎるので、必要ないときにそんな帽子をかぶるのは、気分はよくてもあまりおすすめできないってことだ。 |