ジェイン・ハルディマンド・マーセット (Jane Haldimand Marcet), 1769-1858

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Portrait of Jane Marcet

 19 世紀初期の社交界では政治経済が「流行」だったけれど、それはジェイン・ハルディマンド・マーセットによるきわめて人気の高い 1816 年の著書『化学談義』によるところが大きい。父親の家で家庭教師に教育を受けたジェイン・ハルディマンド・マーセットは、もっぱら植物学と化学に関心があった。この関心は、夫であるスイスはジュネーブ在住の医師兼化学教授が奨励したものでもあった。1806 年に、彼女は化学の原理を一般向けに解説した処女作を刊行した。これは偉大な化学者マイケル・ファラデーにも大きな影響を与えた。

 一冊目が成功したので、同じアプローチを政治経済にも使ってみようとしたのが、 1816 年の Conversations on Political Economy だ。マーセットは、生徒のキャロラインとその家庭教師 B 夫人との会話として 古典派 経済理論を説明した。アダム・スミス、ジャン=バプティスト・セイロバート・マルサスとデヴィッド・リカード (リカードとは個人的にも知り合いだった) を大いに援用したマーセットの Conversations は、古典派政治経済の原理に関する特に批評性のない解説で、もっぱら若い上流階級の素人向けに書かれていた。これが人気を博したので、他の作家たち、特にハリエット・マルティノーも、経済学の一般向け解説書に手を染めるようになった。

 マーセットの 1833 年の John Hopkins は、労働階級が読むように書かれていた。テーマは前と同じで、今回は貧しい労働者ジョン・ホプキンスが主人公だ。とんでもなく労働者を見下したこの本の中で、彼女はホプキンスが自分の立場の苦労について文句を言うのをとらえて、それを古典経済学的に正当化しようとする。いまにして見ると、それはイギリス階級制の当時の状況に関する臆面もない擁護論になっていた。1851 年の Rich and Poor でも彼女は同じことをやる。こんどは代弁者B 氏を田舎の校長先生にして、相手をその六人の男子生徒にしている。ここでマーセットは「賃金の鉄則」から賃金資金ドクトリンに乗り換えているのが注目される。

ジェイン・ハルディマンド・マーセットの主要著作

ジェイン・ハルディマンド・マーセットに関するリソース


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