アルメン・A・アルチアン (Armen A. Alchian), 1914-

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Photo of A.Alchian (from Blaug)

 アルメン・アルチアンの生産する論文は数も少ないし、砕けたあまり定式化されていないものも多いけれど、でもその影響力は最高レベルにある。ずっとランド研究所と UCLA にいたけれど、アルチアンの経済学へのアプローチは「シカゴ学派」と密接に関係している。なぜそう判断されるかというと、アルチアンは経済学のいささかややこしい分野で、新古典派価格理論を見事に使うからだ。これでかれは、新制度学派経済学の始祖の一人とされている。

 1950 年の企業理論における有名な「最大化論争」(maximization debate) への貢献の中で、アルチアンは市場構造の分析に進化の「生存」理論を導入した。つまり、すべての企業が意識的に利潤最大化しないかもしれないけれど、でも競争的価格メカニズムと市場が、最大化をしない企業を潰してしまう、ということだ。もちろんその時々には、利潤を最大化しない企業はあるだろう。でも長期的には、進化プロセスが続けば、利潤最大化企業だけが生き延びる。だから経済理論における利潤最大化の仮定は、ある時点における事実に対応していなくても、一般化として有効だ、というのがアルチアンの議論だ。この議論は、ミルトン・フリードマンによるもっと単純な説明よりも明らかに鋭いし、「進化」経済学にとっても重要な先駆となった。

 アルチアンによるケインズ投資理論 批判 (1955) は、投資理論の古典だし、またかれの失業に関する研究 (1969) は「職探し」 (job search) から生じる自然失業率を考えた最初期の論文だ。ハロッド・デムセッツ (Harold Demsetz) と共同で行った、1972 年の財産権に関する研究は、コースの研究を一般化している。最後に、かれが W.R.アレンと書いた有名な 1964 年の教科書は、シカゴ流のお手本のような一冊だ――新古典派市場パラダイムを温存拡張してあらゆる経済問題を扱い、また「市場の失敗」に見えるものが、実は失敗ではなく、取引コストと情報問題によって生じる「市場の結果」でしかないとして記述している。

アルメン・アルチアンの主要論文

アルメン・アルチアンに関するリソース


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