オケルマン兄弟 (The Åkerman Brothers)

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Johan Akerman skiing (from Akerman's festschrift)Signature of Johan Akerman

グスタフ・オケルマンとヨハン・ヘンリク・オケルマンは、スウェーデン派経済学理論に大きな貢献をした。

グスタフ・オケルマン (Gustav Åkerman), 1888-1959.

 ヴィクセルの生徒だったオケルマンは 1923-4 年の博士論文で、固定資本や耐久資本財をヴィクセルの流通資本モデルに組み込むことを提案した。そうすればあの面倒な「ヴィクセル効果」がなくせる、というのがかれの主張だった。その研究でヴィクセルは自分の資本理論を見直して、有名な「オケルマン博士についてのメモ」 (1923) で再定式化を試みた。グスタフ・オケルマンはその後イェーテボリ大学で教え、資本理論の研究 (1931) を続けて、その後は歴史研究に移行した。

ヨハン・ヘンリク・オケルマン (Johan Henryk Åkerman), 1896-1982.

 オケルマン兄弟の弟のほうは、兄より明らかにオリジナリティ豊かだった。博士論文「経済生活のリズム論」 (1928) は、ビジネスサイクル 理論についての生涯にわたる関心 (e.g. 1931) を告げるものだった。かれの見方では、短期周期と長期周期の間には厳密な同期関係があった。 それを理論化しようとするオケルマンの試みは、部分的には季節的な周期に依存する内生的なビジネスサイクル理論を先見的に取り入れたもので、そうした周期はもっと大規模で長期の経済変動を生み出し、相関しているのだ、とかれは論じた。この同期したサイクルというビジョンはラグナー・フリッシュ (1931) の厳しい批判を受けた。スウェーデン以外ではほとんど無視されたものの、オケルマンの「因果関連」(1931) 理論は、きわめて最近の季節周期に関する研究を先取りするものだった。オケルマンはまた、「政治的ビジネスサイクル」(1947) を指摘した最初の人物でもある。アングロサクソン世界でかれが有名なのは、むしろこのおかげが大きい。

 オケルマン弟はまた、経済理論に関する分厚い二冊の本 (1939, 1944) でもっと幅広い研究を試み、歴史的、構造的変動に関する包括理論と、それが逆に個別経済現象をどう決めるかについて解明しようとした。おかげでかれはストックホルム学派の純粋理論といい加減な総和手法をかなり批判するようになった (Åkerman (1953) と Ekonomisk Tidskrift におけるその後の論争を参照)。オケルマンの業績は手法、認識論、制度要因の考察まで含んでおり、これはミュルダールと似ているが、ミュルダールによって乗り越えられたとはいえない。その業績はほとんどがスウェーデン語、ドイツ語、フランス語で発表され、独特な専門用語まみれなので、英語世界よりは大陸のほうに大きな影響を与えている。ヨハン・オケルマンは ルンド大学——ヴィクセルの古巣——で教鞭を執り、 ストックホルム学派に対抗する「ルンド学派」を特徴付けたのはかれのアプリーチだった。


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