経済全体が安定したトレンドで上昇するのではなく、周期的な活動の好況と不況を繰り返すという発想はかなり古い。ほとんどあらゆる経済学者は、経済活動の一般水準が強く上下動するのを認識している――これはGeneral Glut 論争や、 マルクス経済学的な不況論を見ても明らかだ。だがそれが定期的な周期パターンを見せ、そうした上下動が厳密に定期性を持って繰り返すという発想が出てきたのは、19 世紀末のウィリアム・スタンリー・ジェヴォンス とクレメント・ジュグラーが登場してからのことだ。
この最初の理論家たちは、もっぱら「外生周期」理論を主に提唱した。経済の周期を、「自然界」で見つかる外部の外生的な周期と結びつけるわけだ。たとえば天候の周期などがそれにあたる。そしてそれはまた、宇宙の現象に影響されるかもしれない。こうした自然現象は、収穫などの目に見えるものにも影響するし、人々の気分といった目に見えないものにも影響するのだ、とかれらは論じた。それらが経済で観測される上下動を生み出す、というわけだ。こうした自然現象は周期性を持っていたので、それに対応する経済活動も周期性を持つということになる。
この線に沿って、ウィリアム・スタンリー・ジェヴォンス (1866, 1875, 1884) は太陽黒点――いやホント――と関連した経済周期を見つけた。ヘンリー・L・ムーア は気象周期に基づくものを見つけたし(1914)、金星の位置に基づく周期も発見した (1923)。ヨハン・オーカーマン (1928, 1932) はもっと細密なものを見つけた。かれはもっと長いビジネスサイクル/景気循環を、小さな天候に基づく季節的な周期の影響が拡大したものと関連づけたのだった。
しかしこうした気候理論については、ケインズが『一般理論』で指摘しているように、経済の中で農業が占める割合が大きかった時代には妥当性を持っていた可能性が強いものの、工業やサービス業の比率が圧倒的に高まった現代においてはあまり説得性を持たない。さらに貿易の発達もこうした傾向を弱める。一部地域での天候不順や不作は、他地域での豊作によって補われ、結果としてこうした波動は平準化すると考えられるためである。ときに一瞬息を吹き返すことはあるものの、ビジネスサイクル/景気循環の天候理論は現状ではかなり限られた説得力しか持たないと考えるべきである。
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