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ケインズ『雇用と利子とお金の一般理論』要約、3 章

山形浩生 (全訳はこちら

3 章 有効需要の原理

Abstract

  1. 雇用 \(N\) は、社会の総消費と総投資の合計、つまり有効需要によって決まる。

  2. じゃあ総消費はどう決まる? それは雇われた人たちがどんだけ消費するかで決まる。そしてその消費は、その人たちの稼ぎで決まる。所得が増えるとみんな消費を増やすから。でも、増えた分を全部消費にまわす人はいない(ふつう貯金とかするでしょ)。どのくらいを消費にまわすか、というのが消費性向というやつだ。

  3. このままだと事業者は、払った賃金(つまり所得)より低い売り上げ(消費額)しか手に入らないので、人をそんなに雇えない。それがわかってるから、かれらはもともと見込める売り上げ(消費額)程度の人しか雇わない。すると完全雇用でないところで均衡する。つまり自発的でない失業が起きる。

  4. これを防ぐには、社会の投資を増やすことだ。投資を増やせば、その分有効需要も増える。そのためには、投資の見返りが(貯蓄の利息より)高くないとダメだ。

  5. でも経済が豊かになると、稼ぎを全部消費にまわさなくてもいい(消費性向が下がる)し、また社会のインフラも整備済だから投資機会も減る。完全雇用が実現するまで有効需要を高めるためには、人工的に投資機会を増やす、つまり利子率をどんどん下げることで投資を確保しなきゃいけない。

  6. だから、有効需要と、投資の限界効率と、利子率についてきちんとした理論を考えないと経済の一般理論にならん。それをこれからやる。

  7. 古典派の理論は、現実離れしていて、実用性も皆無。自由放任の現状追認なので気に入られただけかも。それと、古典派理論だとこの世はあるがままでサイコー、という幻想に浸ってられて気分がいいのかも。でもそれは現実の問題から目を背けることだよ。


本文

Section I

Section II

Section III

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2011.10.10 YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)


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