山形浩生
Jared Diamond Guns, Germs and Steel がむちゃくちゃにおもしろく刺激的な本であることは、だれにも否定しがたい確固たる事実ではあります。とても刺激的であるために「この部分についてもうちょっと知りたいぞ」とか「このネタもとはなんだろう」とか思ってしまうのは、これまた人情。そして原著には、その人情に応えるために、Further Readings という章が巻末につけられて、ネタ本や異説などがきちんと紹介されていたのでした。えらいですね。
しかぁし!!
邦訳書『銃・病原菌・鉄 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』)(倉骨彰訳、草思社)では、この Further Readings の部分がばっさりと削られていたのであります。
ばっかもーん、なにをやっておるか。そうやって、せっかく芽生えた興味をほかにつないでいく可能性を自分で勝手に刈り取っちゃって、それでたぶん「値段を下げて読者にサービス」したつもりになって悦に入ってるんだぜ。そんなことやってるから、本を読む人がへって出版不況になんか陥るんだと思う。出版屋が自分で自分の首をしめているのだ。バカだな。
さてこれに対して稲葉振一郎氏が義憤をあらわにして、草思社に抗議しよう!とおっしゃっております。あー、気持ちはよくわかるのですが、なんか結果が出ると思います? 改訂版をちゃんと出すと思います? ぜーったい無理よ。それに結果が出るとしても、それに何年かかると思う? その間にも、どんどん芽生えた興味はしおれてゆくのだ。そっちを救うほうが先決だぁ。
というわけで、ここに「Jared Diamond "Guns, Germs and Steel" Further Readingsを勝手に訳して公開する会」を発足させます。やることは読んで字のごとし。
とりあえず山形が勝手に進めますが、協力したい人は是非ご連絡を。なお、留意事項は以下の通り:
まず、上記の留意事項をよく理解してください。そのうえで山形(hiyori13@alum.mit.edu) までメールで連絡をください。自分がどこをやりたいかを、その際にあわせて教えてください。邦訳を読んで、XX章のあたりに興味を持ちました、と指定してくれれば、その部分に対応する Further Readings の部分をファックスなり郵送なりいたします。
各パート、はやいもの勝ち。これは申告がはやい者、ではなく、訳す作業がはやい者、という意味です。申告しても、遅いと他の人が勝手に乗っ取ります。また、訳すにあたっては、邦訳されているものについてはそれのチェック、さらには担当者自身の「このネタならこんな本もお薦め」といったコメントもどんどんつけてください。自分の担当以外の部分についても、こうした追加は大歓迎。
よろしゅうございますね。ではみなさま、始めましょう。あ、その前に一発。さあ稲葉さんもご一緒に:
やーい、草思社のオタンコナス!
とはいうものの、かなりよい本をたくさん出してくれている、よい出版社だというのは認めざるを得ないのではあるが。それだけに細かいミスがいらだたしいのであるよ。
あーすっきりした。でははじめましょうか。(2000/10/25)