山形道場 復活第 ?? 段
恒例の世界ハッカー大会のもう何回目だっけ、H2K2に行ってきたのだ。アメリカの(ふつうはあまりよいほうではないと思われている)ハッカー雑誌(というより電話ただがけ雑誌が発展したものではあるんだけれど)2600が隔年で主催しているイベントだ。
で、うーんどうだろう。毎回求心力があるようなないような、なんかそんな状態ではあるのだけれど。去年の大規模テロ以降、この世界も締め付けが厳しくなってきているのはご承知の通りだ。主催の2600もいろんな裁判に立たされて、結構きつい状況にある。そして分野としても特に新機軸は出ていない。多くの企画はすでに定番化していて、特に目新しさはない。たとえば私立探偵パネルや、スパイ講演、ソーシャルエンジニアリングパネルにジェロ・ビアフラのキーノートなんかがそのたぐいだけれど、まあ例年通り、という感じだ。特に話す人が同じだと、中身もだいたいは以前の繰り返しになってしまうんだよね、どうしても。文系(と呼んでよければ)パネルは惨状をさらしている。レッシグ『CODE』の最後で名指しで「わかってない」と批判されていたデクランが登場して、相変わらずわかってないぶりを発揮していた。「何もわかっていない政治家は無視してコード書きだけで自由を獲得しよう」という議論ね。また『サイベリア』なんかで批判能力の欠如をさらけだしていたラシュコフなんかが、これまた「企業に頼ってはならない、なぜなら企業の中には民主主義はなく、したがって企業は反民主的団体だからだ」という馬鹿なアジをとばして悦に入っていた。やれやれ、そこであんたが着てるもの、食べてるもの、持っているもの、そのすべてが何らかの形で「企業」の作ったものだろうに。そしてもちろん例によっての反グローバリズム馬鹿。「サイバーデモの手段としてサービス拒否攻撃は認められるべきか」って、ダメに決まってるだろうに、そんなことをまじめに議論してどうする!
逆におもしろかった企画は、空港などに現在「テロリスト対策」の名目で取り付けられようとしている顔面識別装置。このソフトをいろいろ試して、どのくらいの精度が出るのか、という実験はおもしろかった。実際の写真を使ってそれをソフトに喰わせて、どのくらい一致得点がでるかを試してみるわけだ。ソフトは目を基準点にするので、視線をそらしたり、まばたきしたりすると、ほとんどつかいものにならない。サングラスはまったくだめ。逆にヒゲや髪型はほとんど影響しない。さらに、テロリストをつかまえるには、そのテロリストの写真がないとダメだから、去年の大規模テロみたいな初犯ばかりの事件には実はまったく役にたたない。さらにフォールスネガティブ(似てないやつまで似てると判定する率)がやたらに高くて、実際に導入されたら無実の人を山ほどひろって仕事にならなくなり、たぶん本物のテロリストがつかまる前にシステムが使われなくなるだろう、というのが講演者の結論だった。あと、鍵のピッキング講座はすごかった。ありとあらゆる鍵が、すいすい目の前で開かれる。多くは専用器具をマニアが自作しているんだけれど、最近増えてきているディンプル式の鍵は、厚手のアルミホイルにベース鍵があればすぐに開く! ベース鍵をアルミホイルでくるんで鍵穴に差し込み、ごにょごにょやっているうちに、玉のあるところはアルミホイルがそれに押されてちょうどいい深さのくぼみができて、それがそろうと開いてしまうという……すごい。
そしていちばんおもしろかったのが、イギリス沖合の独立国シーランドと、そこにあるサーバ会社の連中の話だったのだけれど……今回はここまで、続きはまた次号だ。
近況:貿易センタービル跡地の利用計画がきまらずに苦労しているようです。今回は久々の先進国で、当然のように電話が通じたり停電しなかったりするのはいいね……と思った数日後にニューヨーク大停電。だめじゃん。
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