山形道場 復活第 30 段(番外編)
例によってフライトがキャンセルされたどうしようと騒いでるアメリカ人おのぼりさんどもを後目に、南アフリカを発って空から見るマラウィは泥と草葺きの掘っ建て小屋らしきもの以外に建物が一切なくて、さらに舗装されている道路がまるで見あたらずひたすら赤土の道がくねっていて、そのうち街が見えるかと思う間もなく、そのまま何もないところのどまんなかにある空港に飛行機が着陸して、うひょーと思っていたらなんと向こうのほうからタラップを空港職員が六人がかりで人手でずるずるひきずってきたのには思わず笑ってしまったのであるが、そこから空港の建物に入ってしばらく待たされた空のロビーに、小学校の机みたいなものを引きずってきてすわった職員が入国審査の係員で、これはいままで来た国の中でもだんちがいに簡便だなあと感心する間もなくあっさり入国して迎えの車に乗ったはいいが建物が一向に見えてこないうちになんとなく人通りだけはやたらに増えてきて、まばらに数軒ほど一軒家が見えてきた頃に運転手が「そろそろ都心だ」とかふざけたことを言うのだが、なるほどその直後に車はそこそこ都心部にあるはずのホテルに着いてしまって、テレビも壊れていたし、うーむと思ってまわりを散歩してみると、首都のリロンゲ新都心には全部あわせてビルが百本とないことが判明し、さらにそのビルの間も実に茫漠と野原が広がっていて、これはブラジリアやチャンディガールみたいにどっかのペテン師が「新国家には新都心が必要です!」とかだまして無駄金を使わせたのであろうと心を痛めることしきりなのだが、それでも人だけは結構忙しげにいったり来たりしているのが途上国はどこでも不思議きわまりないことで、まあ新都心はこれでも旧市街の方にいけばもっとにぎわいや密度もあるだろうと思ったら、確かに新都心よりは密度も高いには高いし、建物も密集はしているのだけれど、それでもまあ小さい小さい、にもかかわらず市場のまわりはすさまじく人がごったがえしていて、ワシントン条約で絶対に国内に持ち込めないであろうものもたくさん売っていて、飯はカレースープのぶっかけ飯みたいなのが一食50円ってとこで、まあそんなこんなでお役人とお話をしたり財務資料をいろいろ引っかき回したり奥地の村を見たり、10日ほどがあっと言う間にたって、帰途のジンバブウェはハラレ空港ロビーで久々にテレビを見ていたら、ぼくの嫌いなブッシュんちのボンボンが出てきて、あの下品にのびた鼻の下をさらしてなにやら勇ましげなことをわめきたてていて、やれやれ無能ぶりがばれてきたので威勢のいい話でごまかそうってか、とゲンナリして、飛行機に載ったときに隣の南アフリカの人が「ブッシュも腹をくくるしかないだろうねえ」と話しかけてきたからそういう回答をしたら「この非常事態に何もしないわけにはいかないだろう」とかなりの勢いで言うので、はて、なにが非常事態なの、と聞いたぼくがさぞかし間抜けに見えたのだろう、後ろの座席にすわったインド人らしき人と二人がかりで「きみはいったいこの10日間どこにいたのかね」と呆れられて、二人がかりで事件の全容について解説をしてくれんだが、え、なに、そんなすごいテロがあったのぉ??!! え、飛行機が貿易センタービルにつっこんだぁ??!! え、世界貿易センタービルって、なくなったのぉ??? うひょお!! じゃああのときのアメリカ人どものフライトキャンセルは、と驚いているぼくを後目に、その二人は、アフガン爆撃の是非について熱っぽい議論を始めたのだけれど、え、どうしてあんな超貧乏国のアフガンを爆撃したがるんだろう、とぼくは未だに全容がつかめずというか信じられずに混乱している間もなく飛行機はヨハネスブルグに向けて降下を開始したのである。
近況:そしてその直後にオーストラリアに来たので、未だに全貌がわかりません。Garbageの新譜が楽しみ。あと、そろそろ表紙に上原まゆみを起用してはいかがでしょう。
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