山形道場 復活第 5 段
これが載る頃には旧聞に属することになるのかな。興銀と富士銀行と第一勧銀とが合併を発表して、みんなあちこちで、やれ金融再編だとか、グローバル時代の生き残りをかけた云々、というような記事が、もうどこを見ても目に入ってくる。ただ、いろんな記事をパラパラと見てみても、総資産額で世界最高という話と、世界的な金融再編の波がってな話以上のきちんとした説明ってのはあまり見られないのだ。
銀行の合併統合ブームは、まああちこちである。少し前はアメリカではやっていたし、いまはフランスや、あるいはちょっと遅れてドイツでも話が進行している。さらに一応、統合したほうがいいという理屈もある。だんだん競争が激しくなっていて、利ざやが薄くなってきてるので、統合して重複部分を削ってコスト削減しましょうということだ。が、現実にそううまくいくかというと、そうは問屋がなんとやら。
実は BIS がほぼ同時期に発表した調査があって、それによると過去数年で世界各地でいろんな銀行の合併統合買収がはやったけれど、収益性はかえって下がってるそうな。ああ、収益性あがらないと、統合だの合併だのは意味ないんだよ、当然ながら。たとえていえば、病人を三人いっしょにして、でっかい病人をつくってみても何もいいことはないわけだ。で、なんで収益性が下がり気味かというと、みんな合併の効果を過大評価しすぎて、金を払いすぎるんだって。それとみんな、組織上の問題を過小評価しすぎるんだって。合併だ統合だと気楽にいってくれるけれど、そんな簡単じゃないよってことね。日本でだって、もう何年前に合併したか忘れたほどの第一勧銀ですら、いまだに第一系と勧業系ってのがなんとなくあって云々って話もきくぞ。だいじょうぶか。
まして今回のやつでは、あの CEO 会長二人に CEO 社長というわけのわかんない体制。あれが年功序列で決まったというのは本当か。ただでさえむずかしくて予想以上にコストのかかる統合が、すでにこんな段階で達成できないようでは絶望的だ、という話はいろんな人がしているよね。ちなみあの意味不明役職の英語名称について、ウルトラ CEO とスーパー CEO と、オーディナリー CEO にするという冗談がある。もちろん 3 人もいるようではだれもまともな CEO とは言えないので、三人そろうと頭文字をとって USO CEO (ウソ CEO )という……個人的には、せっかくいい機会だから CEO 職を乱発して、 CEO 係長とか CEO 課長とかつくってくれると楽しくていいと思う。
さらにきつい批判としては、図体でかいだけで国際競争力がつくなら苦労はしない、国際競争力をつけるための唯一の手は、競争をさせることだって話。そりゃ合併すれば、国内ではでかくなる。でも合併するってことはライバルが減るってことで、ライバルが減るってことは競争が減るってことで、かえって競争力は減る可能性だってじゅうぶんにある。
とはいえ、2002 年まではいまのままで 3 行が別個に活動を続けるそうな。ということは、結局何かやっても、どうせあと 3 年は実質的には何も起きないってことだ。で、本格的な合併の苦労がその後からはじまって、するとまともに機能するようになるのは?
ちなみに、別の調査によると、合併統合した直後にはどこでも株価はドーンと上がるけれど、数年するとみんながっかりして昔より下がる傾向にあるってさ。さて今回の場合、みんなががっかりするまでにどのくらいかかるだろう。案外はやいかもしれないぞ。ではまた。
近況:ハンガリーに日食を見にいってきた。大感激。しかし、もう丸二日踊り続ける体力だか気力だかはないことが判明。
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