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CUT 連載書評 2004


 2004 年は、最初は2003年をさらにひどくしたような状態で始まり、前半はひたすらトラブル処理に追われた。特に年度内は予算消化と仕様書穴埋めの追加出張、およびその後の事務処理でとにかくあれこれふりまわされました。同時に、別件でも当方の仕事をまったく認めてくれないお客さんにいっぱい泣かされ、予算も大幅超過して大目玉。プライベート面でも、とにかくいろんなものが終わって、かなり公私ともに腑抜けてもいた時期だったなあ。でも夏に、中国の日本企業をあれこれ調査しにまわって、その報告でバリ島に行ったりして、後半は比較的おちついて楽しい満足のいく仕事ができた。年末にでかけた香港で何か書いたような覚えもあるんだが、もう忘れている。

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CUT 2004/03 表紙はニコール・キッドマン 2004.1 クッツェー『夷狄を待ちながら』

 朝日新聞に書いたネタの使い回し。うーん、このパターン多すぎ。でも、こんな人に本当にノーベル賞あげたんだあ。本当にもう人材が枯渇しているのかな、文学業界は。あるいは文学そのものがもう限界にきている一つの証拠なのかもしれない。

CUT 2004/04 表紙はジョニー・デップ 2004.02 嶽本野ばら『ロリヰタ。』

 嶽本野ばらなんて、おもしろいわけないと思っていたら、読んでみると意外によかった。なもんで、ほかの本もいろいろ買って読んでみた。ちょうど大阪出張のときに、客先の近くにあった古本屋で何冊か買い込んで、帰りの新幹線で読んだ。パカパカ読めてしまうんだけれど、でも上手。でも、最後までつきつめずに投げ出したりおざなりに処理したりするのはどれも同じ。惜しいなあ。あとこの本の表題作は、携帯メールで主人公と女の子がやりとりするのを全面に押し出してるのが、自慢げであまり小説的な効果につながっていないように思う。このしばらく後に映画『下妻物語』が公開されて評判いいので読まなきゃ。

CUT 2004/05 表紙はロストイントランスレーション 2004.03 『GQ』

 久々の雑誌紹介。メンズ雑誌みたいなものなんてあまり読まないんだけど、こいつは送ってくるので、数号読まずにたまっていたのをまとめて捨てようとして、ついでにぱらっとめくったら結構おもしろかったのでした。でもこの書評が出てからちょっとパワーダウンしてるかな。なんかリニューアルがあって、ぼくの連載も縮小になって、全体的にも落ちたような。あと、GQは女を醜く撮るという方針が一時あったようで、初期の藤原紀香や稲森いずみはかわいそうなくらいだけど、それもなくなったかな。

CUT 2004/06 表紙はいろんなロック楽隊 2004.04 小島寛之『確率的発想法』

 朝日新聞に書きたかったが、時間の都合でダメになった。すんません。かわりに長目でこっちに。部室に書いた議論の簡単なまとめ、ですな。なお小島「数学大王」寛之氏の評判はうるわしく、書評屋としてはよかったよかった。

CUT 2004/07 表紙はスパイダーマン2 2004.05 ギブスン『パターン・レコグニション』

 久々におもしろかったギブスン。日本のおたくのネタもこめてて、なかなか楽しい。女の子はピラティスばかりやってるんだけど、うーん、あれってそんなにいいのかね(その後、この手のオルタナ系健康云々にはめざとい渡辺まりなが提灯担いだりして多少普及してるみたい)。でも他にニューロマンサーとの類似性を指摘する人があんましいないのはなぜ? 明らかに故意にやっているとしか思えないんだけれど。

CUT 2004/08 表紙はマイケル・ムーア 2004.06 川島レイ『上がれ! 空き缶衛星』

 空き缶打ち上げ話。掲載時には柏ネタとか、もう少し削っている。何回か読むと、やっぱ技術的な記述の細部がほしくなってしまうなあ。あと、なんか最近はICソケット不信というのはもうないみたいだねえ。各種工作でもみんな軒並み使ってる。少しは進歩したのかもしれない。あと、ぼくは貧乏だったからソケット代でも節約したかったのだ。

CUT 2004/09 表紙はオーランド・ブルーム 2004.07 バルガス=ジョサ『フリアとシナリオライター』

 確かこれだったような記憶がある。上の空き缶衛星と順番が逆だったかもしれない。ぼくはバルガス=ジョサとはイマイチ相性が悪くて、緑の家も、ラ・カテドラルの対話も今ひとつアレだったのだ。なんか大味な感じがする。世界終末戦争とかも読みたいんだけど、

CUT 2004/10 表紙はジョニー・デップ 2004.08 Benoit Mandelbrot et al.『The (Mis)Behavior of Markets』

 これは大変にできが悪い。自分でバックナンバーを取り寄せて、改めて入力しなおしたが、テクニカル分析の説明もファンダメンタルズの説明も、非常に歯切れが悪いし、それがマルチフラクタルの話にうまくつながっていない。非常に恥ずかしい代物。なお、この本の邦訳はすさまじく遅れて、ずいぶんと後になって「禁断の市場」というひどい邦題で出版された。

CUT 2004/11 表紙は香港スター三人 2004.11 安田雪『人脈づくりの科学』

 本当に分野としてはおもしろそうなのに、なんだこの著者は。これほどまともにモノの書けない人というのは久々に見た感じ。説明が説明になっていないし、書かれている各種研究が、論点をまったく補強できていない。こんな人がなんで研究者をやってられるんだ?

CUT 2004/12 表紙はCUT 2004/08 表紙は韓流スター二人 2004.12 『獲得と喪失』

 これは傑作。各種雑文の集まりだが、どれも目から鱗の話ばかり。。

CUT 2005/01 表紙はジャニーズのだれか 2005.01 『前田建設ファンタジー営業部』

 これはおもしろかった。きちんと積算するというのがどういうことなのか、たぶん読者のほとんどはこれまで知らなかったと思う。ぼくもふつうは坪単価80万だから~、という程度の雑ぱくな計算しかしないから、こういう積み上げ式のやつは実におもしろかった。見積もり段階でここまで詰めるのか(ってあたりまえだけれど)。



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