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CUT インデックス#2(1993-1994)

 二年もやってかなり書き慣れてきてる。で、1993 年夏に留学することになって、これでもうおしまいだな、と思ったら「アメリカの本を紹介すればいいじゃないですか」と言われてあっさり続投が決まった。

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1993.02 青山正明『危ない薬』

 友情出演してくれた同僚たちに感謝。おおむね実在だけど、一部言動に誇張あり。

1993.04 トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』、『エクセントリックス』

 畸人がラッパを吹き鳴らす、というタイトルで、競売ナンバー49に出てくるいろんな畸人たちの話と、「エクセントリックス」の畸人分析をからめてみたんだけど、まあまあだな。それにしても、「エクセントリックス」の畸人度診断テストはよかった。

1993.06 永瀬唯『疾走のメトロポリス』、Ray Gun

 永瀬唯は、この手の文章は抜群によい。生身の人間に向けて書く文は、ぜんぜんダメだな。政治的な駆け引きという感覚がないから。でも、それがこういう歴史的な話を書くときにはすごくシャープに出てきていいんだ。これもとてもよい本。Ray Gun はこの頃絶好調。カーソンの趣味全開で、まったく読めず、すごくよかった。その後、だんだん読める路線に軟弱化していって残念だ。

1993.08 多田富雄『免疫の意味論』

 アメリカについたばかりで、プリンタもファックスも家もなかったので、パワーブックで打って、それを手書きで紙に写して、それをそこらの雑貨屋さんで送ってもらったっけ。飛行機のエピソードは、ちょっとフィクション入ってます。このおばさんは、ぼくの隣にはこなかったのだ。

1993.10 ウィリアム・ギブスン『Virtual Light

 待ってました、という本だったけれど、あっさりした読後感で意外。それと、世間的な期待は(敢えて?)はずした、というのは事実だろうと思う。そこらへんをきちんと書いた、よい書評だと自分では思っている。

1993.12 『13th Gen』、Paul Krugman 『The Age of Diminished Expectations

 クルーグマン初登場。この頃は何者かなんてぜんぜん知らないで、この本も MIT ブックストアのぞっき本の棚から拾ってきた。今やサイン入りで宝物じゃ。もう片方の本は、読んでみたらだんだんつまらなさが鼻についてきた。今考えると並べるだけおこがましい感じ。なお、このクルーグマンは後に『クルーグマン教授の経済入門』として拙訳にて刊行。やったぜ。

1994.02 レム『宇宙創世記ロボットの旅』、大橋力『情報環境学』

 ここに書いたとおり、大橋「芸能山城組」力は未だに生物学的根拠のある意味論を刊行できていない。だから無理なのよ、そういうのは。

1994.04 山岸凉子『日出処の天子』

 コインランドリーというのは、これは実話なんだよ。われながら、CUT に書いた中では一、二をあらそう名文だと思う。ファンレターもきた。

1994.06 Paul Krugman 『Peddling Prosperity

 1993 年の秋に初めて読んでからすっかり大ファンになっていて、この時点ではすでにもうクルーグマンの本はほとんどすべて読んでいた。これは当時の新刊。翻訳の企画書をあちこちに出したけど、日経に先にとられて残念。邦題は『経済政策を売り歩く人々』。翻訳は……言わぬがなんとやら。

1994.08 ウィリアム・バロウズ『内なるネコ』

 訳者あとがきで没にされたのをここで活用。でもおさまりが悪い。

1994.10 ウィリアム・T・ヴォルマン『十三の物語と十三の墓碑銘』

 これも有数のいい文だと思う。家族は、売春宿に行った話など書くな、と不満だったみたいだけど。

1994.12 『MYST』、レジデンツ『フリークショー』

 CD-ROM のレビューだけど、なにも言われなかった。安易なミュージシャン CD-ROM はあまりに劣悪で、しかも日本の太鼓持ちレビューではまともなものを見たことがなかったから書いておきたかった。それにゲームはしないぼくが MYST を最後まで制覇できてうれしかったこともある。

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