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わらし掲示板のログから、まとめ読み用に転載し整形しました。
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山形浩生 「ブレイン・ヴァレー」(瀬奈英明 著)あらすじ
(元の掲示板ログ)
山形 関連資料:『ペンギン玄人』に対する各種の抗議文
(元の掲示板ログ)
それは21 世紀初頭の物語。今世紀末からの不況が未だ世界中を覆い、世界は停滞と失望とあきらめに包まれています。高まる失業。蔓延する貧困と犯罪。持てる者と持た ざる者との格差は広がり、裕福層は軍事要塞にも似たコロニーにたてこもるのを、貧乏人ゲリラ団が襲撃し簒奪する現象があいついでいました。「やはり市場は あてにならない!」あの死んだと思われていた社会主義・共産主義が各地で復活。またすがるもののない人々が宗教にすがり、各地に乱立した神聖帝国同士が、 不毛な戦いを繰り広げていました。物語はこの世界を舞台に展開されます。
世界中で、いきなりヒトがねこじゃねこじゃのような奇怪な踊りとともに怪死するという奇病が発生します。原因不明。ご く少数の生存者たちの話は大きく二つにわかれました。一つは、変な銀色のうちゅーじんらしき連中に取り囲まれて、ちんちんやまんこを電気棒でつっつかれて 気持ちよくて踊ってしまったと主張する者たち。そして死んでふわふわするのが楽しくて踊っていたら生き返ってしまうのだと主張する者たち。この両者に共通 するものは何か? それさえつきとめられれば――世界各地に研究所がつくられて、徹底的な研究が行われます。その一つが、恐山を総本山とする教団の勢力が 強い青森県に設置されていました。そして、主人公たちはある重要なヒントを得ます。両者を結ぶ鍵は、てんかんと脳内物質、そしてチョムスキー理論で主張さ れる、ヒトの言語本能を司る脳の部位にあったのです。
答は脳にある。脳の中で何が起きているのか――科学者たちは、チンパンジーとスーパーコンピュータを組み合わせることで、擬似的な言語本能中枢を構築す るのに成功します。そしてバーチャルリアリティを利用したバーチャルシップのノーチラス号で、そのチンパンジーの脳の中へ自ら没入していきます。しかしな がら、ノーチラス号は科学者たちを思わぬところへと導いていきます。赴く先は、右脳と左脳の間にある谷間、すなわちブレイン・ヴァレー/脳梁。言語本能を 目指したはずのノーチラス号は、この何もないはずの部分へと向かうのでした。しかし計器には確実にエネルギー反応が見られます。「そうか、チャクラだ!」 古代インドのヨガとヴェーダ哲学で唱えられる、人のオーラの源たるチャクラこそが、ヒトの言語能力を作りだしていたのか!
そしてそのチャクラの中で一行を待っていたのは、予想だにしない恐るべき存在でした。人類の誕生以来、密かにその方向性を与え、欲望を操り、脳を支配し てきたその存在とは――が、まさにその時に、この研究所が貧乏人ゲリラ団に襲撃されてしまい、電源が切断されてしまう! チンパンジーの脳内に閉じこめら れてしまった科学者たちの運命やいかに!
救いは意外な方から訪れました。ゲリラ団に捕獲されたチンパンジーは、たまたま恐山のいたこの目にとまります。「そのもの、サルの形をしておるが、サル に非ず! 何者ぞ!」チンパンジーは答えます。「わが名はレギオン」こうしていたこたちによる、大口寄せセッションが展開されることとなります。その中 で、科学者たちは過去の死者たちと出会い、対話を繰り広げてゆきます。そして世界を覆う奇病と不況の真の原因、および人類の進化の未来について、驚くべき 啓示を受けるのでした。「これを伝えなければ!」焦る科学者たち。なんとかコンピュータネットワークに接続して、ニュートリノ転送により実体化すれば…… しかしながら、いたこたちの協力でやっとこれが実現したとき、あのブレイン・ヴァレー/脳梁に潜んでいた、あの恐るべき存在までこの世に現実の姿をあらわ してしまう。
いま、人類と超生命体との、地球の覇権をかけた最後の戦いが始まる……
だいたいこんな話です。東洋宗教と科学を融合させるとともに、生物学や大脳生理学、言語学の最新成果をふんだんに採り入れ、人類の起源からその未来まで を視野におさめた雄大な構想と筆致が魅力ですねー。是非ご一読ください。なお、同タイトルの別の小説があるようなので、ご注意ください。
なお、この小説の中で、いろいろと言語本能の生物学的な根拠をさぐる過程で牛を研究する 部分があります。そこで明らかになったのは、牛の場合、健モウ症とはんすうが言語系に 影響を与えていて、同じことがなんどもなんどもなんどもなんども原形をとどめぬようになって まで反復される現象だった、という下りがあります。たぶん瀬奈英明も失礼小説的な構想を 持っていたのですね。
書留内容証明郵便●1999年8月23日
はじめまして。
ぼくは、「玄人差別をなくす会」の書記長です。玄人差別をなくす会は、 ぼくたちの中にある玄人に対する偏見と差別をなくすためにとりくんでいます。
これまでに、玄人差別商品を製造販売している会社に、玄人を傷つける商品を もうこれ以上、作って売らないようお願いしてきました。 その結果、いくつかの玄人差別商品がなくなりました。
そのひとつに、映画『ペンギン玄人』があります。あらすじを書きます。
――それは21 世紀初頭。日本がうちあげた国産スペースシャトル第一号のなかでは、 あやしげな実験がおこなわれていた。生命科学研究所の理事長サンバは、 「人間は、神になるのだあああああ。このサンバが産ませてみせる」と叫ぶ。 遺伝子操作で作りだしたペンギン玄人の卵を宇宙空間に差しだしたところに流星雨が! 隕石に当たったベビーシャトルは小笠原沖に落下する。 ペンギン玄人捜索に向かった山方浩人と恐山いた子の素人二人組。すっかり成長した ペアのペンギン玄人を発見する。皆既日食のとつぜんの闇におびえる玄人たち。 「よっしゃあ!」山方はいきなり服を脱いで「Post Human」をバックにレイヴしはじめる。 「裸になって、同じ人間同士だってことをわかってもらうしかない!!」 いた子も前世紀的な着物を脱ぎ捨てながら、舞い踊る。 と、二人はとうとつに、ち○子ちゃんとま○子ちゃんの精に変身した。 「映画史上、もっとも報われない脱ぎ」と評論家をなげかせたあのシーンである。
研究所にうつされたペンギン玄人夫婦は、ミトコとドリアと名づけられ、 人権無視の検査をうける。しかし、 ペンギン玄人は南極に返すべきだと信じるアマチュア数秘学愛好家に拉致されてしまう。 昭和基地でいきなり野性に帰った玄人夫婦は、吠えながら駈けだし、そのまま行方不明に……。
――あらすじを書いているだけでも怒りと悲しみでぼくの指がふるえます。 このおはなしが決定的に弱いのは、Why です。なぜ? なぜ神さまを? ペンギン玄人の二世が活躍する続編『リベンジ・オブ・ペンギン玄人』まで製作に とりかかっていたのですから、ぼくたちが阻止しなければどうなっていたかとぞっとします。
もうひとつ、さいきんの例に、アニメ『エヴァン玄人』があります。とっても流行したので、瀬奈せんせいもきっとごぞんじですよね。
ぼくも最初のほうは、このおはなしをおもしろいと思いました。 それはぼくが素人で、このおはなしが玄人を傷つけることを知らなかったので、 このおはなしのどこが悪いか知りませんでした。 けれども、玄人たちは、この話は見るのもいやだと言ってます。逃げたい逃げたい 逃げたい、逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ、というのです。 玄人は素人になることはできないのだから。自分ではどうしようもないことを 責めたり笑ったりするのは差別です。 たとえば名前に「玄」がついているのは本人のせいでしょうか。ちがいます。
このおはなしが決定的に弱いのは、またも、Why です。なぜ? なぜ神さまを? とくに危険だったのは、その番組が、素人向けの時間帯に放送されたことです。 素人の心は、純粋無垢なのに、これらのゆがめられたイメージを教えこまれ、 心が毒され、精神が破壊されています。
そのうえ、多くのキャラクターグッズまで発売されました。 それらはすべてステレオタイプのイコンだったのです。 世の中は混乱し、「ちびまる子」ちゃんグッズまでごっちゃにした人たちによって、 謎の宇宙生命体コジコジボイコット運動が起きました。 ついに潰瘍堂がチルドレンズの製造中止を決めたときは、「あんなにかわいいのに」 「人形に罪はない」といった中止反対の声が、萌え萌え〜の方々から大量に寄せられました。 けれども、差別はあくまでも「される」側のきもちをきじゅんに考えるべきです。
玄人差別をなくす会が、テレビ局と「害なくす会」に何十通も配達・内容証明付き郵便で うったえたおかげで、番組の最後にはつぎのような文章が毎回流れ、 最終回は文部省推薦マークつきの人類の愛と平等をたたえる結末となりました。
「この番組を見て、ち○子ちゃん、ま○子ちゃんは、きみの友だちに なったかい? でも、きみたちの友だちをふざけて、ち○子ちゃん、 ま○子ちゃんと呼ぶのはやめようね。むかしから、その名前は、 玄人をばかにしたことばなんだ。ばかな人を「あんたばかぁ」と いうのも差別だからね。言われたら言いかえしてやろう。あんたこそばかぁ!」
――ブームが去ってほっとしていたところに、『ブレイン・ヴァレー』をすすめられました。 それが日本語で脳の谷間、という意味であると教わったとたん、ぼくはぴんときました。 『エヴァン玄人』でくりかえし出てきた、ミサトの胸の谷間が目に浮かんだからです。 シンクロ率40パーセント! ショックでした。
Y形H生さんというペンギン学専門家(「利なくす会」相談役)の あらすじを読んだら、ぼくの予想がまちがっていないことがわかりました。 大きな辞書をひくと、「ち○子・ま○子」ということばは、 第三新西京市の玄人の守護神のことで、呪術的な崇拝物をさしたりもする。 そこから、「わけのわからない呪文、ち○ぷ○か○ぷ○」という意味になり、 ここにもまた侮蔑的表意がふくまれていることを知りました。 素人の人にすれば愛称のつもりで、軽いきもちで使っていることばだったと しても、対象となった人が差別だと思うのはとうぜんのことです。
このおはなしが決定的に弱いのは、やっぱり、Why です。なぜ? なぜ神さまを? 科学と宗教は同じですかちがいますね。 ステレオタイプや戯画ではなく、ち○子ちゃんま○子ちゃんの 本当の真実の像を使ってください。世界平和、人間の尊厳を尊重する精神を 育ててください。
そのためには、ぼくはただしい歴史認識が必要だとおもいます。 極東失礼特派員協会のロウ・ホンキン著 『ザ・クロウト 日本の玄人の興隆と崩壊』(1986年・ナンキン大学出版局)は、 玄人差別の歴史をたどった労作で、江戸時代の黄表紙から昭和のビニール本、 裏ヴィデオにいたるまで、玄人のステレオタイプな写真資料をあつめていて、 小学生のぼくにもとても勉強になります。 ホンキン氏は、「玄人の正しい姿」を表現した作品はわずかπ%にすぎないことを 確認し、その普遍的値が非ユークリッド空間でもなりたつことを証明して フールズ賞を獲得しました。(父にたずねたら、円を正方形にするとか、シめショめ問題 ぐらいむずかしいのだそうです)
この本でホンキン氏は、素人の女性こそ理想であるという感覚が、素人中心主義社会を 告発するクロウ人である自分のなかにもあったこと、そしてそのことに気づいたとき ロウバイした心中についても正直にうちあけているのです。
これは、玄人は素人のときから、素人ばかりが登場する絵本やマンガで 育てられ、そのなかで素人上位の社会的な価値観や自我意識を身につけて いかなければならないことを示しています。 玄人たちに、このような本を与えてよいものでしょうか。 その悪影響について、ぼくたちは責任をもてますか?
瀬奈せんせいと出版社のかたにおねがいします。 ぼくたちに、いまいちばん必要なのは、差別の痛みを知る玄人の声に 耳をかたむけることではないでしょうか。 そうして、サル1匹クローン牛1体傷つけることのない、だれもが安心して読むことの できる本を作ってください。だってサルは人間の祖先なのですから。1999年8月22日 AIBOがまだ届かないグレそうな夜に
追伸:瀬名秀明さんの同タイトルの小説と混同しないよう注意ください。
マリリン・マンソン(しかもよりによって Post Human!)でレイヴなどというのは、八百屋で魚を売れと言うに等しく、そもそも不可能であってまったくの妄言であり、この点からも映画『ペンギン玄 人』製作者たちの見識の低さがうかがえよう。こうした商業主義に毒された心ないメディアの安易で誤ったイメージづくりのために、地球環境を考え、肉を断っ て菜食主義を採り、西洋科学至上主義に冒された物質文明を否定して自然との共生をはかる伝承医療を採用し、人間のために犠牲になっている研究所の哀れな実 験動物たちの権利を守るために、邪悪な研究者たちを血祭りにあげているわれわれ心あるレイヴァーたちの真の姿がゆがめられ、はだかで踊るクスリづけ退行人 種という印象のみが先行してしまう自体を、われわれレイヴァーとしては心から憂慮するものである。関係各位の猛省を即したい。
ちんころレイヴァーどもなんぞに使われるほどAnti
Christマリリン・マンソンは甘いものではないわい。マリリン・マンソンはモッシングとスラミングのみに有効な音楽なのだ。なまっちろいレイヴァーど
もなんか、マリリン・マンソンのコンサートのモッシュピットにまぎれ込んできやがったら3秒で踏み殺してやる。そんなちがいもわからんバカな映画製作者に
鉄槌を! Manson rules!
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