山形浩生
Page | 位置 | 誤 | 正 (改訂部分は赤) | 注 |
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全編随所 | - | 定住促進住宅 | 貧困者支援所 | *2 |
全編随所 | - | 高速道路 | 幹線道路 | *2 |
p.18 | - | - | (別ページの文章を挿入) | *1 |
p.20 | 上5行目 | 最初の千億ドル | 最初の数十億ドル | *2 |
p.23 | 上 最後から6行目 | 行政 | 議会 | *2 |
p.30 | 下 最後から6行目 | ものですが、第II部はもっぱら | もので、それに続く内容を理解するのに必須ですが、第II部はもっぱら | *2 |
p.38 | 上9-10行目 | 州や市の法制局 | 州議会や市当局 | *2 |
p.51 | 下 最後から5行目 | 使わせるわけにはいきません。監視と | 使わせるわけにはいきません。見たくもない街路を人々に見させることもできません。監視と | *2 |
p.75 | 上 2-6行目 | 人間味のない市街地は……市街地の具体的な活動がどんなものかという問題 ……市街地が実際にどう使われているか…… | 人間味のない街路は……歩道の具体的な活動がどんなものかという問題……歩道が実際にどう使われているか…… | *2 |
p.75 | 上 11行目 | 会議への出席 | 会議室の存在 | *2 |
p.83 | 上 12行目 | 恐れがあるのなら、親睦やさりげない | 恐れがあるのなら、そして中上流階級の人々ほど自分のご近所が何者かを自己選別できないなら、親睦やさりげない | *2 |
p.86 | 上 10-11行目 | 組織の中で指導者たちがすっかり | 組織化の途中で指導者たちが出会い、すっかり | *2 |
p.86 | 上 最後の行 | 居住者も、公共プロジェクトの住民と同じ道を | 居住者も、多くを共有するかゼロかの選択に直面すると、公共プロジェクトの住民と同じ道を | *2 |
p.105 | 上 4行目 | 去勢したがる | 禁止したがる | *2 |
p.118 | 上 13行目 | 敬意の高い人 | 敬意を集める人 | *2 |
p.118 | 上 最後から5行目 | かなり容易に補ってあげられるし | かなり容易に置き換えられるし | *2 |
p.122 | 下 3行目 | 人工的な | 表面的な | *2 |
p.140 | 下 11行目 | ます。ユニオン定住促進住宅の | ます。たぶん教授も、何を言っているか友人たちに理解してほしいことでしょう。ユニオン貧困者支援所の | *2 |
p.153 | 上 5行目 | 巨大機関の建物群などは | 巨大機関の建物群などの物理的障壁は | *2 |
p.156 | 上 最後から6行目 | ちがっているべきなのです。おもしろい地区 | ちがっているべきなのです。都市は繰り返しばかりの町の集まりではありません。おもしろい地区 | *2 |
p.158 | 上 4行目 | 出張してまで協力を試してみる | とりあえず協力してみる | *2 |
p.159 | 下 注22 | 「ジェファソン市場…… | 「地下室住民の入居者緊急委員会」「ジェファソン市場…… | *2 |
p.171 | 下 注24 | トレンドを分析したところ、チェーン店は | トレンドを分析したところ、大型デパートは全般に売り上げを下げ、チェーン店は | *2 |
p.174 | 上 最後から7行目 | るようでなくてはなりません。 | るようでなくてはなりません。この混合は、規模がそこそこ似通ったもの同士でなくてはなりません。 | 編集部にある読者から連絡。ありがとうございます。 |
p.185 | 上 12行目 | 百億ドル | 十億ドル | *2 |
p.190 | 下 4行目 | 一次用途の混合を強調する | ダウンタウンの一次用途の混合を強調する | *2 |
p.212 | 上 4-5行目 | 九つの街区はごく簡単に通り抜けられることがわかりました。 | 九つの街区は、ばらばらながらも簡単な通り抜け手段が見つかりました | *2 |
p.214 | 上 5行目 | るようでなくてはなりません。 | るようでなくてはなりません。この混合は、規模がそこそこ似通ったもの同士でなくてはなりません。 | 編集部にある読者から連絡。ありがとうございます。 |
p.220 | 上 14-15行目 | 古すぎたり、選択の余地があってそこを利用すべく選んだような印象は与えません | 古すぎて選択の余地ある人たちが敢えて使おうとしないなどとは思えません | *2 |
p.221 | 上 1行目 | 者、歯科研究室、 | 者、紙を売りマテ茶の配送もする業者、歯科研究室、 | *2 |
p.221 | 下 注33 | どこかのお優しい方が何らかの圧力をかけて、わたしたちが……べきだとか言われたりすることなのです | そこかのお優しい方が、わたしたちが……べきかどうか審査してくださることなのです | *2 |
p.223 | 上 6行目 | 寄り集まったところが見られます。 | 寄り集まって、パークチェスター住民に支持されています。 | *2 |
p.223 | 下 8-9行目 | 二十フィート×四十フィート | 六×十二メートル | *2 |
p.225 | 下 注36 | たとえばタイム社はマンハッタン中心の | たとえばタイム社は、周縁部のずっと安い敷地ではなく、マンハッタン中心の | *2 |
p.226 | 下 5-6行目 | そこは驚くほど変わっていません。近隣は奇妙にも己を更新できず | そこは驚くほど変わっていません。むしろそこに対する人々の気持ちが変わったのです。近隣は奇妙にも己を更新できず | *2 |
p.226 | 下 最後から3行目 | じくらい継続的な調整ができません。 | じくらい、生のプロセスを作り上げるような継続的な調整や適応や再配置ができません。 | *2 |
p.238 | 下 最後から8行目 | ユニットを示しているからです。標準的な | ユニットを示しているからです。一部の都市計画家が反対する。標準的な | *2 |
p.249 | 上 最後から7行目 | 二つあるのでなければ、いまのような形で | 二つあるのでなければ——そしてその二つの見方が、根底のところで感情的なものでなければ——いまのような形で | *2 |
p.255 | 下 最後から5行目 | るものです。全体は驚くほど | るものです。それはまともで自然なコントラストやちがいです。全体は驚くほど | *2 |
p.264 | 下 3行目 | るのです。 | る視覚特性を持ちます。 | *2 |
p.478 | 上最後から8行目 | 四〇年代は | 四〇、五〇年代は | データの集計範囲ミス |
p.478 | 上最後から6行目 | 一九五〇年代には | 五〇年代後半から六〇年代には | データの集計範囲ミス |
p.478 | 下1行目 | 空前絶後の | 空前の | NYは80年代にも減少 |
p.479 | 上最後の行 | 一九六〇年代から | 一九六〇年代末頃から | データの集計範囲ミス |
p.484 | 上 1-11行 | それが十年も……それを見すごす。 | (別ページの文章と差し替え) | *2 |
p.487 | 下 13行 | アメリカ大統領 | アメリカ副大統領 | 大見崇氏よりご指摘いただきました。 |
p.501 | (索引) | 一次用途—— 174, .... | 一次用途—— 185, .... | 松本昌氏よりご指摘いただきました。 |
*1:エピグラフがすっぽり抜け落ちているのを見落としました。お恥ずかしい限りです。
*2:中村実男氏にご指摘いただきました。
本書についてググっていると、本書のタイトルの「Great American Cities」を「アメリカ大都市」と訳すのは「明らかなる誤訳」だという意見を見つけました (webcite版)。その方の見解だと、正しい訳は「アメリカの偉大な都市」または山形流に敷衍するなら「すばらしいアメリカ都市」にでもなるでしょう。他に、この意見を支持するようなコメントもいくつか見かけました。
この見方は確かにわかりますし、そのほうがジェイコブズの意図に近いことも十分考えられます。しかし一方で、これは十分に翻訳者の裁量の範囲内だし、タイトルとしての語呂の問題もあるし(「の」が続くとatokくんにも怒られるし、「すばらしいアメリカ都市の死と生」だと、死と生がすばらしいみたいになっちまいます)、それ以上に内容を考えたとき、ぼくは「アメリカ大都市」でまちがってはいないと考えます。彼女が基本的に関心を持っているのは大都市とその中の近隣コミュニティだからです。またこの点については、ルイス・マンフォードも次のように述べています。
... nothing less than a universal theory about the life and death of our great ---- by "great," Mrs. Jacobs seems always to mean "big" ---- American cities.
(Mumford, Lewis "Mother Jacobs' Home Remedies for Urban Cancer" The New Yorker, 1962/12/01, p 154, 強調引用者)
したがいまして、「アメリカ大都市」という訳は、辞書的な意味の上でも、また客観的に見た内容的な意味の上でも決してまちがってはおらず、誤訳と呼ぶのは不適切だと考えます。前訳者がそこまできちんと考えたかはわかりません。しかし一方で、ジェイコブズもそこまで厳密にことばを使う人ではないと考えます。
ちなみに改訳においては、最初の訳と邦題を変えると読者が混乱することもあり、なるべくそろえるようにするのが通例です(「現代の二都物語」のようないやな邦題であっても)。そのため今回は変えておりません。
訳者解説で研究成果を引用させていただいた、東大出歯亀研究会の正体・履歴などご存じの方がおられましたら、ご一報いただければ幸いです。1980 年代半ば、中学か高校の頃に五月祭で出展していたのを見かけましたが、ぼくが入学する頃にはすでに存在しなくなっておりましたので。
注 (2010-5-14):その後、この部分は「変質者」というのが出歯亀を指すのではなく同性愛者たちを指すことが判明し、該当部分を解説から削除したために意味がなくなってしまいました。が、引き続き情報は求めております。
訳者解説でジェイコブズの著書については網羅したつもりでしたが、その後 Max Allen, ed. Ideas That Matter: The Worlds of Jane Jacobs (Ginger Press, Ontario, 1997) の存在を知りました。ジェイコブズの手紙、雑文、記者時代に書いた記事、講演、対談、彼女の著書に対する書評、各界からの書き下ろしコメントを集めたアンソロジーです。まとまった著作とはいえませんし、他では見られない目新しい知見があるわけではありません。が、批判的な書評を笑って受け流すことができない、よく言えば生真面目、悪く言えば打たれ弱い性格が各種手紙などによくあらわれていて、予想外に楽しめるものになっています。一方で、途上国は人口過密に苦しんでいるから産児制限が必要といった通俗議論を明解に否定してみせるなど、明晰な思考家としての側面もあらわれていて、ジェイコブズについて予備知識があれば小ネタ集として有益です。
新版が出たために、鹿島SD選書から出ていた黒川訳の旧版は当然ながら絶版になりました。これまで他にも、改訳はいくつか行っておりますが、著作権上の問題などのために訳し直したものをのぞけば、通常は訳の精度も読みやすさも、あらゆる点で旧訳よりも格段に質の高いものをご提供できていると自負しております。が、毎回必ず出てくるのが、「旧訳のほうがよかった」「旧訳は不正確かもしれないが味わいがあった」「熱意を伝えていた」等々というご意見です。
むろん慣れというものもありますし、蓼食う虫も何とやらで、そうした嗜好そのものは如何ともしがたいかとは存じます。が、そうした方々にも朗報がございます。この勉誠出版から出ている『黒川紀章著作集』第16巻「翻訳」編に、何と黒川訳『アメリカ大都市の死と生』全文が収録されています(不思議なことに訳者の解説は収録されていないのですが、他の巻に入っているのかもしれません)。現在も入手可能なようです。旧訳がよいという方は、こちらを手に入れることも可能です。ただしどうも分売はしていないようで、10万円でこの著作集全巻をそろえなくてはならないようですが。
この本は2006年に出ており、かなりの期間、SD選書版と並行して刊行されていたわけですが、なぜそんなことができたのかは不明です。実物を見てみましたが、奥付を見てもジェイコブズの版権や翻訳権についての表記はまったくなく、どういうプロセスで刊行が認められたのかはよくわかりません。鹿島出版会との間で何か話がついていたのかもしれませんが、ちょっと不思議な本ではあります。
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