朝日新聞書評しなかった本 2005/1-3
- 橘木俊詔『脱フリーター社会』
- これはぼくがとったわけじゃないけれど、別の書評候補で読まされて、あまりのひどさに投げ捨てた一冊。投げ捨てただけじゃなくて、どうダメかをちゃんとアマゾンに書いておいた。でもこれほど明白なだめさ加減がわからないはずはないから、まさか朝日に書評が出るとは思わなかった。うかつだった。委員会席上で罵倒しておくべきだった。でもこんな不誠実でいい加減な本をほめるやつがいるとは思わなかったんだもの。で、だれかと思ったら……また松原隆一郎か。かれの鑑識眼は「日本はデフレではない」のときにも疑問に思ったけれど、それはまあかれの自説とのかねあいもあるし、と思ったが、それ以前の問題があるんじゃないかなあ。「フリーターをめぐる問題の本質に迫る快著」だぁ? どこが! 表面かすりもしてない駄本じゃあございませんか。こんど刈谷さんにきつく叱っていただきます。
- イーガン『万物理論』
- ほんとに泣く泣く落とした感じ。でも候補にあがったのも遅かったし、ほかとのかねあいでしょうがなかったのです。今年の3冊で言及したので許して!
- 『イスラム』
- 基礎的なイスラム教科書で、特に目新しさなし。
- ラクチュール『シャンポリオン伝』
- これは期待してたんですが、つまらない。とにかく何でも書こう
として、枝葉ばかりになってます。シャンポリオンの家系を10代
さかのぼってみたり、親父さんが家を何歳の時に買ったなんて
話を延々書いて見たり、パリ時代のシャンポリオンが貧乏生活
でお兄さんに書いた仕送り依頼の手紙を10通ものせてみたり、
しかもそれが本題と何の関係もないところばかり。著者の文体も
気取ったいいまわしだらけでうざいし、それを愚直すぎる翻訳
が直訳していて意味がとりにくいところだらけ。さらに、この原著刊行(1988)直後に翻訳依頼されて、今頃できあがるってどういうこと? あまりにグズ。
- 『私たちは暗黒宇宙から生まれた』
- ALMA プロジェクトへの関心を集めようとする本で、関係する
学者があれこれ文を書いてるんですが、むずかしすぎ。一般読者に読ませようという気合いがまったくなくて、学者どもが自分の目線でしかモノを書いてない。これじゃあ全然ダメ。ですます調にしたら一般人向けになりますってもんじゃないんだぜ。
- ヘルド『グローバル社会民主政の展望』
- 世界がグローバル化している中で、アメリカ一人勝ちじゃない
新しい政治経済の仕組みを、というんですけど、お題目以上の
ものがあるとは思えない。具体的な提案をしましたってのが、国連協調型でアメリカもごり押しせずに国際政治の一員としてうだうだ。あーうるせえ。この程度の代物を学者どもは「具体的」っていうのかよ。
- いいだもも『レーニン・毛・いらない』
- これは最初の数十ページ呼んで脱力することしきり。いままでの
内ゲバ体質がよくないと言おうとしつつ、結局だれが内ゲバして
きたか名指しして糾弾するという、内ゲバの繰り返し。まさにそれがダメなんじゃん、
というのを得々としてさいごまで繰り返している感じ。もう途中はほとんどどっかのお寺の読経儀式みたいにページをパラパラめくるだけ。そして最終章
の今後の方向性を「竜頭蛇尾ではなく竜頭竜尾だ!」と自画自賛しな
がら、言ってることは腐ってる柄谷行人のさらに腐ったみたいなどうでもいいこと。そんなんだから左翼はバカって言われちゃうんだよ。それにしても、何十年こちゃこちゃくだらんことやってきて、行き着く先がAERAのダジャレってのも、むなしい人生ではありませんか。
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YAMAGATA Hiroo (hiyori13@alum.mit.edu)