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もったいないインパク。

(朝日新聞 2001年5月19日「視点」掲載)

山形浩生

 政府主催のインターネット博覧会(インパク)が昨年末から1年間の予定で開催中だ。企業や自治体や個人のウェブページをリンクして、万博っぽいことをやろうという企画。数十億円の予算が投入されている。

 が、この企画、オープン前から悪評ふんぷん。まさか今時、ホントにウェブページをリンクするだけなの? だが幕を開けたインパクは、驚いたことにホントにそれ「だけ」だった。

 もうこれに何かを期待している人は、ほとんどいない。「政府内でもあれはなかったことになっている」という冗談もある。四ヶ月がすぎ、もう話題にすらならない。だって見るところがまるでないのだもの。

 インパクのダメなところは、従来の官製イベントの発想から一歩も出ていないこと。いや、それ以下だ。まともなテーマもないんだもの。インパクの入口ページで、ここが何なのかわかる人はいないだろう。検索機能すらない。相変わらずの許認可行政。申請して承認していただかないと参加できない。インパク協会なる外郭団体設立まで伝統通り。そして独自の、インパクならではの売りは何一つない。変な文化芸人を雇って、レベルの低いところで中途半端に国民に媚びを売ってみせるだけ。

 そうじゃないだろう。そんなことは商業サイトに任せとけって。これってそもそも、政府のITへの取り組みの一環だろうに。ならまず政府関係の情報をきちんとまとめたサイトにすればいいのに。各機関のIT関連の取り組みを整理できないの? あるいはインターネットの持つ課題をどう考える? セキュリティとか、多言語利用の問題とか。ネットの将来像とか。そういうのを見せる場にできないの? 首相は日本は IPv6 の旗をふると言った。それならインパクのサイトを IPv6 対応にしたら? 情報は出すところに集まる。政府が何も出していないインパクに、他の人の情報なんか集まらないし、人も何もくるわけがない。ネットは双方向のオープンなメディアだとか、大きな現在進行形の対話だ、と言われるのはそういうことなんだ。インパクは、そこを完全にはずしている。

 やれることはもっとあると思うんだけどな。このままだと、インパクは「政府ってわかってないんだな」という宣伝でしかない。それじゃあもったいないじゃないか。そういうことだ。

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